低刺激の成分に変更で肌荒れを抑止! 商品表記から学ぶ「洗顔料」の選び方

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皮膚科専門医が警告する「化粧品」の真実(2/2)

 洗浄剤としてのイメージが強い界面活性剤は、浸透、乳化、保湿などの作用もある。強すぎるその作用が、時に肌荒れや乾燥肌、敏感肌の原因となると説くのは、「東京美容科学研究所」の小澤貴子所長だ。肌の細胞を傷つけてしまうそのメカニズムについては前回を参照頂きたいが、界面活性剤は化粧水やシャンプー、トリートメントなど広範囲の日用品に含まれ、全てを避けることは難しい。

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「界面活性剤には害があるもの、そうではないものがあり、冷静に判断する必要があります。ですが、一般の方がそれを見極めるのは容易(たやす)くはない。例えば多くの洗顔料の主成分は石けんという一種の界面活性剤ですが、それを『石けん素地』と書いたり、より詳しく『ミリスチン酸ナトリウム』などと化学名で書いたり、更に『ミリスチン酸』と『水酸化ナトリウム』と分けて書いたりと、素人が見ても区別することは極めて難しい。もっとも、皆が皆、化学者級の知識を身につける必要もない。僕が消費者の皆さんにお勧めしているのは、成分表示は配合量の多い順に記載されているので、その上位成分に特に注目して化粧品を選ぶという方法です」

 と話すのは、美容化学者のかずのすけ氏。

「化粧品の中で特に肌に負担が大きいのは洗顔やクレンジングなどの『洗浄剤』です。これの主成分は界面活性剤なので、より低刺激の成分に変更することで肌荒れを抑止できるのではと考えて界面活性剤についての研究を始めました。現在、様々な界面活性剤が開発されていますが、それぞれが帯びている静電気の性質によって陽イオン、陰イオン、両性イオン、非イオンの4系統に大別されます」

 石けんを含め洗浄剤の主成分は「陰イオン界面活性剤」と呼ばれる成分で、マイナスの静電気を帯びる。「陽イオン界面活性剤」は逆にプラスの静電気を帯びていて、電気的に吸着して柔軟性を与える。いわゆるシャンプーとリンスの関係である。いずれも静電気を帯びるため皮膚を刺激し得るが、プラスとマイナスのどちらもの性質を持つ「両性イオン界面活性剤」は電気的バランスがとれていてほぼ無刺激であるし、静電気を帯びない「非イオン界面活性剤」という成分もある。いずれも極めて安全性の高い成分でベビーシャンプーや食品添加物、化粧品の乳化剤などとして利用されている。

「表記上もっともわかりやすいのは『石けん素地』とあるもの。そこから『石けん素地』と『カリ石けん素地』とに表記が分かれると、原料に水酸化ナトリウムを使用しているか水酸化カリウムを使用しているかの違いがある。カリ石けん素地は水に溶けやすいので液体やペーストの石けんに用いられていて、通常の石けん素地は固形石けん。『カリ含有石けん素地』というものもあり、これは両者の混合タイプです」(同)

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