低刺激の成分に変更で肌荒れを抑止! 商品表記から学ぶ「洗顔料」の選び方

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元凶は01年

 翻って、そもそもここまで入り組んだ表記が罷り通っている理由は何なのか。

 前出の小澤氏に聞くと、

「かつて化粧品は一部の指定成分のみに表示義務が設けられ、その他の多くの成分は表示する義務がありませんでした。それが01年に薬事法の改正により、『全成分表示制度』が導入され、消費者が全ての成分を見ることができるようになりました。これはとても有意義だと感じられますが、同時に化粧品業界に大幅な規制緩和があったことも忘れてはいけません。改正前は、化粧品の製造に使用できる成分が定められていて、それ以外の成分を新たに使用する場合には、安全性テストを行って使用に問題がないことを厚生省(現・厚生労働省)に対して示す必要がありました。しかし、改正後は一部制限のあるものを除き、どんな成分でも承認許可なく配合できるようになったのです」

 結果、日本の化粧品に使用される成分は、00年までは2900種類弱だったものが、いまや1万種類を超えているという。日本化粧品工業連合会の正会員企業数もまた01年時の約700社から、現在は1200社を超えるほどになっている。

「家電やフィルム、服飾、アクセサリーなどの異業種からの参入も盛んです。化粧品製造に関する規制緩和によって、平たく言えば素人でも化粧品が作りやすくなった。化粧品はイメージ次第でいくらでも魅力的な商品に見せることができ、高く売れるので、利益率が高い業界だと言われています。他業種からの参入が後を絶たないのはそのせいもあるでしょう」(同)

 そして、こう訴える。

「国が消費者を守るというのは、消費者にとって安全な化粧品を作るようにメーカーを指導することです。しかし行政はどうしたら安全な化粧品を作ることができるのか、どの成分が安全で、どの成分が危険なのか、といった指導を全くしていません。商品に全ての成分が記載されているとはいえ、素人がそれらをきちんと理解することは難しい。正式な形で成分の説明をまとめたり管理したりする組織がない以上、消費者はなす術がありません。メーカーの多くは、どのキーワードを使用すれば購買者が何%増えるのかなどを分析し、『つい手に取ってしまう心地のいい言葉』を効果的に使用して、消費者を誘惑しているのです」

週刊新潮 2018年9月20日号掲載

特集「塗ってはいけない! 皮膚科専門医が警告する『化粧品』の真実」より

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