「頬」より化粧水を塗らない「あご下」の方がキメ細かい!? 皮膚を破壊する“界面活性剤”の真実

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界面活性剤のダメージ

 界面活性剤――。不倶戴天の敵である水と油を仲良くさせる成分で、汚れを落とす洗浄剤としてのイメージが強いかもしれない。

「実際には洗浄作用のほかに、浸透、乳化、保湿など様々な作用があります。皮膚の環境を健やかに保つために界面活性剤を使う必要はあるのですが、その作用が強すぎるものは、使い続けると肌への負担となり、肌荒れや乾燥肌、敏感肌の原因となります」

 と、前出の小澤氏。では、界面活性剤はどうやって細胞を傷つけてしまうのか。

「細胞の表面は細胞膜という膜で覆われています。そこは水と相性の良い部分、そして油の部分とから成っており、水と油が互いを避けようとする力によって、安定した構造を保っていられます。しかし、界面活性剤は水と油を結びつける作用を持つ物質ですから、この細胞膜の構造を破壊し、そこに穴をあけてしまうのです。肌の奥には新たな細胞を生み出し続ける基底細胞があります。これは、アメーバのように自己分裂するもので、生成されたコピー細胞は一定の時間が経つと死に、その間にもどんどんと新しい細胞が生み出され続ける仕組みになっています。これを『ターンオーバー』と言います。コピー細胞の寿命は1カ月程度で、死んだものは皮や垢となって剥がれ落ちるのですが、過度な保湿などをするとうまく細胞が死ねずに肌表面の環境が悪くなってしまいます。水に濡れてしまった新聞紙をはがすとボロボロになってしまうのと同様です。逆に、こうしたコピーを作る基底細胞は大切にしなければいけない。自身は再生することのない細胞ですから、界面活性剤などでここにダメージを与えてしまうと、コピー細胞の生成がうまくできなくなってしまうのです」(同)

 2013年、カネボウの美白化粧品で肌の色が白く抜けてしまう「白斑」の被害が1万人を超えて回収となり、世間を震撼させたことは記憶に新しいところだろう。

「このとき原因物質とされたのは新しく開発されたロドデノールという『植物由来の天然物質』です。ただし、私はこの白斑被害の原因がロドデノールという一成分のみによるものであるとは考えていません。普通だったら浸透しないような肌の奥の細胞にまで美白成分が浸透していたのは、浸透剤としての界面活性剤が働いていたから。ロドデノールだけが悪いのではなく、その浸透を可能にした界面活性剤の乱用にも問題があるのです。“私は○○という成分が肌に合わないようだから”と特定の成分が入っている化粧品を避けているような人をしばしば見かけます。むしろそういう人に気が付いてほしいのは、界面活性剤によってバリア機能が低下しているという事実です」(同)

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