酷暑マラソン「井上大仁」「野上恵子」「鈴木亜由子」快走の価値

スポーツ

  • ブックマーク

Advertisement

初マラソンでV

 レース内容も良かった。

「“一人ぼっち”が好きだそうで、焼肉もカラオケも一人で行くそうです」(同)

 という井上だが、レースは終始、エルアバシ(バーレーン)との2人旅に。ゴール直前でスパートをかけた井上が辛くも振り切った。

「トラック勝負は日本人の負けパターンと言われていますが、“よくぞ競り勝ってくれた”と陸連幹部たちは大絶賛しています」(同)

“勝負強さも折り紙つき”となったわけだ。

 翌26日に行われた女子マラソンでは野上恵子(32)が銀メダルを獲得した。

 馴染みのない名前だが、

「男子は“東京五輪対策になる”と一線級の選手がエントリーしましたが、女子のトップ選手たちは“暑いのは嫌”と敬遠し、野上にお鉢が回ってきた」(同)

 レースは、世界陸上を制したチェリモ(バーレーン)が25キロ過ぎから独走。熾烈な2位争いを40キロ過ぎからスパートした野上が制した。ただ、酷暑とはいえ記録は2時間36分27秒と平凡で、世界水準のチェリモには2分近く水をあけられた。

「酷暑の中で2位争いを制したのは評価できるとはいえ、いかんせん年齢が……。実を言うと、陸連幹部たちは、野上より、同日行われた北海道マラソンの結果に小躍りしています」

 とスポーツ紙デスクが語るのは、初マラソンの北海道マラソンを優勝で飾った鈴木亜由子(26)のことである。記録は2時間28分32秒。リオ五輪5000メートル代表で、選出時は“初の旧帝大(名古屋大)出身女子五輪選手”として話題になった。

 所属は、かつて高橋尚子を教えていた高橋昌彦氏が監督を務める日本郵政。

「陸連の山下佐知子五輪強化コーチは“メダル候補として考えている”と。高橋監督に至っては“金メダルが狙える”とまで言い切っています」(同)

 2020年が楽しみな“折り紙つき”たちである。

週刊新潮 2018年9月6日号掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。