酷暑マラソン「井上大仁」「野上恵子」「鈴木亜由子」快走の価値

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 趣味は“折り紙”という異色のアスリートがジャカルタで得た折り紙とは――。

 8月25日、アジア大会の男子マラソンが行われ、井上大仁(ひろと)(25)が2時間18分22秒で優勝した。日本人男子の同大会マラソンでの金メダルは32年ぶりだ。

 2月の東京マラソンで歴代日本最高記録を更新した設楽悠太(26)ほどの知名度はないが、実は同じレースで井上も2時間6分54秒の自己ベストをマークしている。歴代4位で、現役では設楽に次ぐ好タイムだ。記録面では既に“折り紙つき”なのである。

「“暑さとの戦い”でもある今大会は、東京五輪の予行演習という意味合いもありました」

 と現地で取材するテレビ局記者が語る。

“暑さとの戦い”はレース前から始まっていた。

「趣味が折り紙というだけあって、手先が器用な井上は、代表のユニホームに自ら菱形の穴をたくさん開けて、通気性を良くする細工をしていました。10キロ以降の給水所には保冷剤を準備し、それを握って走ることで体温上昇を抑制。30キロ以降には帽子も置いて、暑さに応じていつでも被れるようにしていました」(同)

 もっとも、

「赤道に近いジャカルタですが、気温・湿度とも東京とほぼ同じ。でも、体感は東京より断然涼しいのです。山下泰裕団長は“日本と測り方が違うのかな”と首を傾げていました。そんなわけで、レース後の井上も“保冷剤で冷え過ぎたのか、途中で脚がつりかけた”とこぼしていました」(同)

 とはいえ、夏のマラソンを制した意義は大きい。これで井上には“暑さに強い”という折り紙がついた。

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