トッピング教祖「オウム麻原」の世界没落妄想 ドイツ第三帝国と酷似

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「帝王の狂気」

――空想虚言は詐欺犯に多く見られる虚言癖。嘘を重ねるうちに、自分自身が話した虚偽のストーリーを信じ込み、嘘とまことの区別が付かなくなってしまうタイプだ。

「帝王の狂気」という言葉がありますが、歴史的に見て、帝王というものは自分が言った無理な要求が、ことごとく家臣によって実現されてしまうため、妄想に歯止めがかからなくなる傾向があります。通常は、空想虚言者の妄想は、現実の壁にぶつかってはばまれれば、消えてしまうものなのですが、現実の壁に当たらないから肥大化していく。ネロのような暴君は、みなそのパターンと言えます。同じように麻原教祖も、自分の頭の中で考えた出鱈目を、誰一人止めようとしなかったために、最後まで現実に戻れなかったという典型的な暴君タイプだったのではないでしょうか。

 この意味でオウム真理教は、ドイツ第三帝国の運命と非常に良く似ています。諸悪の根元がユダヤ人だという人種妄想を唱えたヒトラー。麻原教祖が、宗教を渡り歩いていた頃、ヒトラーのことを勉強していたという報道もありました。そう言えば、オウムは今でも、ユダヤ人やフリーメーソンが世界を支配しているという陰謀史観を喧伝していますね。

(5)へつづく

「FOCUS」1999年6月2日号

週刊新潮WEB取材班

2018年8月18日掲載

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