「第二の地球」候補は40億個! これから期待できる“新発見” 国立天文台教授の「宇宙」最新レポート

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国立天文台教授の「宇宙」最新レポート(3/3)

 天文学者に衝撃を与えたのが、2016~17年のトラピスト1惑星系の発見です。みずがめ座のトラピスト1と命名された恒星の周りに7つの惑星が発見され、すべてが地球型惑星だったのです。その上、7つのうち3つも、温度環境が地球と似ていて、「第二の地球」候補とされました。こんな例ははじめてです。

 天文学の世界では、長い間、星座をつくっている恒星の周りにも惑星があるはずだと考えられてきました。しかし、それを見つけるのは至難の業です。惑星は恒星に対して小さく、自ら光を発していないためにとても微かです。太陽系でいえば、最大の惑星である木星でも太陽の直径の10分の1ほどで、体積で考えれば約1千分の1。しかも、太陽の光を反射しているだけなので、遠くから見る木星の明るさは太陽の数十億分の1となってしまいます。強烈な光の周りを小さな小さな虫が飛んでいるようなものです。喩えるなら、東京から、パリのエッフェル塔に灯された強烈な光の周りを飛んでいるショウジョウバエを探すようなものです。いかに難しいか、わかっていただけると思います。

 しかし、天文学者はいくつかの方法で、この困難を乗り越え、恒星の周りの惑星(太陽系外の惑星という意味で、系外惑星と呼ぶ)を、すでに数千個というレベルで発見してきています。代表的な方法だけ紹介しましょう。どんなに離れていても、ショウジョウバエが強烈な光の手前を横切ると、光がハエの面積分遮られるので、ほんのわずかに暗くなります。恒星の光をじーっと観察して、どのくらいの周期で、どれだけ減光するかを調べれば、その恒星の周りをどのくらいの大きさの惑星が、何日周期で公転しているかがわかります。

 こうして間接的に発見される惑星は、どんどん増えています。しかも、その中には、木星や土星のように地面を持たない巨大なガス惑星ばかりではなく、地球のように岩石でできた小型の惑星も相当数存在することがわかってきました。公転周期がわかれば、その中心の恒星からの距離がわかります。中心の恒星の温度は、その星の光を調べればわかりますので、見つかった惑星が恒星に近くてとても暑いのか、あるいはずっと離れていて表面がかちかちに凍るほど寒いのかがわかります。このようにして、ちょうど良い温度環境の領域(ハビタブル・ゾーンという)にある系外惑星が続々と見つかっています。こういった領域にある地球型惑星は、大気を持ち、表面に海がある、「第二の地球」である可能性が高いわけです。

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