たけしが聞く 宇宙飛行士の面接対策 受かる秘訣は「凡人」

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 いつの時代でも憧れの仕事、宇宙飛行士。近年は『宇宙兄弟』のヒットや、日本人飛行士の活躍などによってますます注目も高まっている。

 世界のさまざまな極地をフィールドに調査・研究し、「科学界のインディ・ジョーンズ」といわれる生物学者・長沼毅氏は、宇宙飛行士の試験を受けたことがあるという。ビートたけしが彼に聞いた、その意外な採用基準とは――。

■面接官が毛利衛だった

たけし:世界中の極地、僻地を回っている先生だから、宇宙にも行きたいでしょうね。

長沼:いや、もう年齢的に宇宙は無理ですよ。実は35歳のときに、宇宙飛行士の試験を受けたんです。元・宇宙飛行士の毛利衛さんが面接官だったのですが、見事に落とされました(笑)。

たけし:毛利さんはどんな質問をするんですか。

長沼:「もしも君が宇宙飛行士に選ばれたら、我が国にとってどういうメリットがありますか」と聞かれたんです。当時「しんかい」っていう潜水艦に乗って深海の調査をしていましたから、
「一人の人間が深い海から宇宙まで行ったらすごいじゃないですか。そういう人間を日本から出すことに大きな意味があるでしょう」
 と言ったら、毛利さんが、
「じゃあ、僕が潜ればいいんですね」
 と。それで、毛利さんは、本当に7年後に深海調査で潜ったんですよ(笑)。

■受かる秘訣は「凡人」

たけし:毛利さんにヒントをあげてしまったようなもんだね。「これはいいことを聞いた」って(笑)。宇宙飛行士のテストには、他に体力テストとかはあるんですか。

長沼:いろんな項目のテストがあるんですが、どうやったら受かるかは分からない。私は落ちていますから(笑)。後で聞いた話では、どんな項目でも最高点とか最低点とか両極端を取ってしまうとダメなようです。真ん中の人を残していくらしい。

たけし:宇宙での共同生活とかを考えると、あまりにも飛び抜けたような人は向かないということなのかな。

長沼:私と一緒のときに試験を受けて合格したのが、野口聡一さん。たぶん野口さんは成績が全部真ん中だったんです。それで、私は非常な敬意をこめて彼を「偉大なる凡人」と呼んでいる(笑)。

たけし:要するに、中庸を旨とするわけだ。すべてにおいて中庸というのは、なかなか難しいですよね。

長沼:だから、野口さんは偉いんです(笑)。

 世界のキタノが長沼氏をはじめ、11人の達人・超人たちと語り合った本対談の全文は、対談集『たけしのグレートジャーニー』に収められている。

デイリー新潮編集部

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