AIエンジニアの年収は米国の半分… “五輪”で金メダルも出た「日本のプログラミング事情」

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日本の天才中高生が見せた「神業プログラミング」(上)

 29回を数えるプログラミングの祭典「国際情報オリンピック」。日本が初の世界一に輝いたのは昨夏のことである。なまなかな業では太刀打ちできない神の領域とは?

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 プログラミングする人材が日本では過小評価されているのか、そもそも評価する素地がないのか。

 AIに関わるエンジニアの平均年収は日本が650万円であるのに対し、アメリカは1490万円なのだという。

 年収差を明らかにしたのは政府の「未来投資会議」に提出された資料である。この会議が5月17日に開いた会合で、大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」で2024年度以降に、プログラミングなどの情報科目を導入する方針が確認された。

 高校では22年度に、共通必履修科目としてプログラミングを含む「情報I」が新設される。その2年後には生徒が大学を受験する際の共通テストで、情報科目が待ち構えているという寸法なのだ。

 むろん、こういったニュースが出る随分前から、「そろそろ準備しておかないと不安だ」という父兄らの声はいや増しに高まるばかりだった。その結果、プログラミング教室や塾が全国に拡がりを見せてきたのはご存じの通り。この光景は僅か5年ほど前と比べてみても隔世の感がある。

「昔はテーブルが5、6台で足りてたんですけど、いまは大きな会議室にダーッと机が並んでいて、そこもギュウギュウになっています。教室は大阪や沖縄にもできて、規模は何倍にもなっているようです」

 と話すのは、小学4年生のときから「テックキッズスクール」というプログラミング教室に通ってきた早実中等部3年の菅野楓さん(14)。

「もともと言葉そのものに興味があったんです。音楽も、楽器を演奏するよりも、楽譜を読んで想像するほうが楽しかった。そんなに言葉に興味があるのなら、プログラミングも言語のひとつだから体験してみたらと、父に勧められました。それで、教室に通ってみたらハマったということです」

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