震度6が襲った大阪地震 それでも「飛田新地」で遊ぶツワモノ

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「そこのお兄さん、ゴール決めていかない?」

 USJが大阪を代表する名所なら、観光案内には載らない、夜の“迷所”が「飛田新地」である。

 大阪最大の遊郭だったそこは、今でも昔ながらの「旅館」が軒を連ね、夜ともなれば妖しい光が煌めく……「ちょんの間」と言われるワンダーランドだ。

 震度6の当夜。午後10時頃にそこを訪れると、やはり閑散とした印象。

 近くの飲み屋のご主人も、

「いやもうガラガラ。普段の半分くらいですかね」

 と言う。

「入ろうよ、イッパツゴール決めてさ……」

 少ない客を確保しようと必死なのか、「遣り手婆」は、W杯にかこつけてそう呼びこむ。見れば「女性」もサムライブルーのユニホームを着て微笑んでいる。

「おばちゃんに電話すると、“来られるなら来て”って言うから来たんです」

 とはさるコンパニオン嬢。

「でも誰もいなくてチョー暇。店も閉まっているところ、多いでしょ。さっきのお客さんは県外の人でしたよ。地震で大阪にある実家がどうなっているか心配になって慌てて帰ってきたんだけど、家も家族も無事だった。で、安心してそのついでに足を延ばしたって」

 客もツワモノである。

「私、今日は来たくなかったんです」

 と言うのは、別の「女性」。

「いつ余震があるかわからないじゃない。“途中”に来たらどうするの? 全裸で逃げるの? 腰にタオルを巻くの?」

 先の飲み屋のご主人によれば、

「ここは駅から遠いからタクシーで来る人が多い。今日は車が捕まらないでしょ。だから客が少ないんだよ」

 逆に言えば、今日来ている客はよっぽど“お好きな”人ということだが、遅くまで粘って物色を続けている3人組に声を掛けると、

「家は東大阪の方です。結構揺れましたが大丈夫でしたよ。夜になって道も空きはじめたんで来たんです。今日なんて空いてるから、アタリも引きやすいんじゃないかと思って」

 午前0時を越えると店の灯りは消えて行った。天変地異が起きても、人の“営み”に変わりはない。

週刊新潮 2018年6月28日号掲載

特集「天災と人災に揺れた『大阪大地震』」より