大阪地震、なぜ火災延焼は起こらなかったか “阪神”の教訓

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 阪神淡路大震災では大規模な延焼も起こったが、この地震での火災はわずかに7件。

 災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏によれば、

「阪神淡路の建物火災の6割は通電火災でした。倒れてきた家具などで電気器具のコードが破断したまま、停電が復旧することで、火災が起きていた。さらに、そこへガス漏れが加わり、延焼が拡大していったのです」

 しかし、現在ではほぼガス漏れは起こらないようになっているという。

 大阪ガスに聞くと、

「1987年から10年かけ、各家庭に“マイコンメーター”を設置しました。それには震度計が内蔵され、震度5程度でガスが止まります」

 さらに、供給ブロックごとに、ガスを停止するシステムも導入したという。

「現在、約600万戸にガスを送っていますが、それを164のブロックに分けています。そのブロックごとにガスの導管があるわけですが、阪神淡路大震災後の97年から99年に、それにSIセンサという震度計を付けました。もし、震度6程度の揺れを感知すると、ブロックごとにガスを自動停止するようになっています。今回の地震では、この供給停止システムにより高槻市など約11万戸でガスが止まった。今後、配管などに破損個所がないか1戸ずつ確認するので、完全復旧には1週間くらい必要です」

 ガス漏れによる火災延焼を防ぐため、阪神淡路大震災の教訓を生かすことができたわけだ。

週刊新潮 2018年6月28日号掲載

特集「天災と人災に揺れた『大阪大地震』」より

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