小池百合子都知事の“カイロ大首席卒業”めぐる詐称騒動 「正規ルートではありえない」の指摘

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石井氏が明かす同居女性の胸中

 記事を書いた石井氏の話。

「同居女性は、小池さんがカイロ大を卒業していないことについて、こんなふうに話していました。“隠し事なく生きて欲しい。そんなに隠し事をして、息が詰まらないか。小池さんも人生の晩年に入っている。最後まで嘘の人生で終わらせないで欲しい。まっとうな、正しい生き方をして欲しい。自分を偽るのは、もうここまでとして欲しい”と」

 そしてこう続ける。

「彼女はこんな心中も明かしています。“小池さんの秘密を知っているという恐怖から逃れるために、ずっと誰かに話したかった。高齢となり、残り少ない余生を不安から解放されて過ごしたいと願っていた。そんな折に(石井氏の)記事を読み、今、伝えておかなければと感じた。事実でないことが事実として定着し、それが歴史となることを見過ごしていいのか、という思いもあった”」

「正規ルートではありえない」

 先にも触れた通り、この詐称疑惑は四半世紀も前から取り沙汰されてきた。事実なら公選法が定める虚偽記載の罪に問われるものだ。彼女が「カイロ大卒」と経歴に書けば、それに異議申し立ての情報が出てくる。これに対し、「卒業証明書」を手に小池女史が登場し、笑って詐称を否定する。今回の文藝春秋の記事でも、彼女の顧問弁護士はその証書を持ち出して打ち消したし、当のカイロ大も、「確かに小池氏は76年に卒業している」と回答しているのだ。

 そうやって、あたかもモグラ叩きのごとく疑惑は一蹴されるのだが、これが絶えないところから察するに、光を当てて欲しいというモグラらしからぬ情報の性格もまた見て取れるのだ。

「外国人なら、紹介さえあれば入学自体は難しくはありません。しかし、入ってからは本当に大変ですよ。書き言葉である文語は限られたインテリが使う言語であり、日常で使用する口語とは難易度が著しく異なる。日本人が習得するのは並大抵の努力では困難です」

 と話すのは、女史と同時期にカイロ大に留学していた小笠原良治大東文化大名誉教授。日本人として初めて同大を卒(お)えた人物である。

「小池さんのアラビア語が“This is a pen.”
レベルだったというのが本当なら、話にならない。まず、授業で教授が話す内容や板書される文章など全く理解できなかったはずです。1年半に亘って現地でレッスンを受け、その後も毎日、血の滲むような努力をした私でも、卒業に7年を要しました。外国人が4年間で卒業するのは至難の業で、正規のルートではありえないと思います。アラビア語というのはロシア語と並び、世界で最も難しい言語と言われているんです」

(下)へつづく

週刊新潮 2018年6月21日号掲載

特集「五輪が危うい『小池百合子都知事』の『学歴詐称』騒動」より

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