訪日客過去最高も「旅行業界」の大苦境 近ツリ社長が“無配”返答

企業・業界週刊新潮 2018年6月14日号掲載

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 昨年、日本を訪れた外国人は2869万人と過去最高を記録した。今年も堅調に増加し、ホテルやデパートなどは少なからずその恩恵に浴している。だが、その一方で大手旅行会社は苦境に陥っているという。

 近鉄グループの旅行事業を統括し、近畿日本ツーリストなどを傘下に置く、KNT-CTホールディングスは5月28日、機関投資家やアナリスト向けの決算説明会を開催した。

「復配の予定はあるのでしょうか」

 質疑応答で出席者の1人がこう質問すると、昨年就任したばかりの丸山隆司社長は、

「復配は考えていません」

 この返答にはKNT-CTの社員は顔をしかめ、アナリストたちからは失笑が漏れたという。

 KNT-CTの2018年3月期連結決算を見ると、売上高は前年同期比2・3%増の4051億7200万円で、本業の儲けを示す営業利益は7・0%増の31億7700万円で、最終利益は14億円だった。

「当日は、新中期経営計画の発表会を兼ねていました。今後3年間の経営方針を披露する重要な場で、復配を考えていないとは株主軽視といわれても仕方がない。“復配を目指す”といえばよかったのにね」

 こう語るのは、旅行業界を担当するアナリストだ。

「18年3月期は黒字決算ですが、KNT-CTの17年3月期決算はシステム投資や、個人旅行の低迷などが祟り2期連続赤字となる13億2900万円のマイナス。決算の時期を12月から3月にしたり、大幅な組織変更を繰り返すなど“苦戦”しています」

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