「金正恩は在日朝鮮人」 韓国政府高官の発言は北朝鮮最大のタブー

国際 韓国・北朝鮮 2018年6月16日掲載

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「朝鮮純血主義」ではない出自

 金正恩自身が母の神格化を目指して何度か行動に踏み切ったこともあるという。だが、古くからの側近に阻まれて成功していない。

「金正恩の生年月日は、正式に発表されていません。理由として、『生まれた年月日を明らかにすると、母親が誰なのか証拠を与えるに等しいから』という説もあるほどです。いかに高英姫がアンタッチャブルな存在かということですが、そのために北朝鮮が表立って文教授を非難したり、抗議したりすることはないでしょう。しかしながら、何らかの方法で秘密裏に報復してくる可能性は高いと思います」(同・北朝鮮専門家)

 朝鮮語には「チョッパリ」という日本人に対する侮蔑語があるが、これを援用して在日朝鮮人を「パンチョッパリ(半チョッパリ)」と蔑む。

 韓国も北朝鮮も「朝鮮純血主義」の呪縛が存在する。朝鮮民族のナショナリズムを支える概念だ。朝鮮人の純血を尊ぶからこそ、在日朝鮮人への差別も生まれてしまう。

 さらに北朝鮮には「白頭の血統」が存在する。朝鮮日報の記事にも「金正恩がコンプレックスを持っている」と指摘していた。これは金日成(キム・イルソン/1912〜1994)の血筋を意味し、ロイヤルファミリーの正当性を保証するものとされる。

生い立ちは政策決定にも影響

 少なくとも北朝鮮においては最も純粋であり、最も高貴であるはずの家系に、「半分日本」の女性が紛れ込み、「半チョッパリ」の血を受け継ぐ三男を産んだことになる。

 ひょっとすると、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』(文春文庫など)を思い出した方がおられるかもしれない。あの作品では「アドルフ・ヒトラーはユダヤ人の血を引く」との機密文書が物語の“真の主役”だった。

「金正日の正式な妻、母として認められなかったという経験が、金正恩の政策決定に影響を与えている可能性もあります。父の側近を粛清し、父の先軍政治を否定し、何よりも前妻の間に産まれた、“母親は異なる兄”の暗殺を命じました。父親である金正日に憎しみを抱いている可能性は否定できないと思います」(同・北朝鮮専門家)

 父を憎む息子が、父も統治した国家の舵取りをしている。その胸中を思い計るのは、我々“凡人”には極めて難しい――。

週刊新潮WEB取材班

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