「金正恩は在日朝鮮人」 韓国政府高官の発言は北朝鮮最大のタブー

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背景には金正日の女性関係

 世界中は米朝会談に釘付けだったが、北朝鮮の専門家は全く別のニュースに驚愕していたという。朝鮮日報は6月8日(日本電子版)、「韓国大統領特補『金正恩氏は在日なので先代とは違う』」の記事を報じた。

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 極めて重要なのは冒頭だ。引用してみよう。

《韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官(統一・外交・安全保障)は7日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長について「金委員長は若く、スイスで教育を受けた人物で、厳密にいえば在日朝鮮人。そういう点から、先代とはリーダーシップに違いがある」と語った。

 文氏は7日、ソウル市小公洞のロッテホテルで開かれた「第19回光化門ラウンジ」での講演で、「金委員長は(米国との交渉で)条件が合えば核廃棄ができると考えている」としつつ、このような発言を行った。金委員長は母親の高英姫(コ・ヨンヒ)氏が在日朝鮮人出身なので、白頭の血統に対するコンプレックスを持っている――という解釈は多いが、文氏はこれに言及したのだ》

 詳しく見る前に、まずは事実関係を確認しておく。金正恩の父親である金正日(キム・ジョンイル/1941〜2011)は女性関係が非常に複雑だったことでも知られる。

金正男と金正恩は「異母兄弟」

 例えば韓国の東亜日報は、以下のように報じた。

《金正日は、本妻の金英淑(キム・ヨンスク)の他にも、洪一茜(ホン・イルチョン)、成恵琳(ソン・ヘリム)、高英姫(コ・ヨンヒ)、ソン・ヒリム、ホン・ヨンヒ、チョン・ヘスン、イ・ヒョンヨンの8人の女性の間に息子3人、娘5人の8人の子をもうけた》(2004年3月19日「金総書は『夜型人間』 『私生活に見る金正日』」)。

 登場した女性の中で重要なのは、まず「2番目の妻」である成恵琳(1937〜2002)だろう。彼女は“粛清”された長男・金正男(キム・ジョンナム/1971〜2017)の母親だ。

 そして、本来は愛人でありながら「4番目の妻」とされるほど寵愛を受けた高英姫(1952〜2004)が、次男・金正哲(キム・ジョンチョル/1981〜)、三男・金正恩(生年には諸説あり:1984?〜)、四女・金与正(キム・ヨジョン/1987〜)の2男1女をなした。

 冒頭で紹介した通り、文正仁・大統領特別補佐官は「金委員長は母親の高英姫(コ・ヨンヒ)氏が在日朝鮮人出身」と発言したという。では高英姫とは、どのような女性だったのだろうか。

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