菅官房長官の天敵・東京新聞「望月衣塑子」記者が暴露した“官邸取材の内幕”

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膿はお前だ!

――主催は「戦争はごめんだ、いのちを守るオールめぐろの会」という市民団体。団体名から想像がつくように、安倍政権を悪くいえば拍手喝采で、ステージの隅には、デモの時に使ったという、蕎麦(もり?かけ?)を手繰る安倍晋三首相(63)の巨大な人形が置かれている。

 前半は各々持ち時間30分ずつで単独講演。さて望月記者の開口一番――。

望月:私のキンキン声はどこかで聞いたことがあるかと思います。

――これだけで拍手が起こるのはさすが。そして、これまでの自身の経歴を紹介。整理部時代には「現場に戻りたい」と、読売新聞の中途採用を受けたこともあったとか――。そして休憩を挟んで、2人への質問形式による講演が1時間。官邸取材の内幕話の一部をお送りしよう。

望月:第2次安倍政権になって、会見とか質問できる機会が縮小されています。記者クラブだけに公開していて、フリーの方が入れないという問題はあるのですけど、記者クラブに対して開いていた門戸もどんどん狭めているという状況があります。官邸会見で言えば、2011年の民主党政権時に、首相の官邸での記者会見は26回、17年はなんと4回! 受け付けている質問は20ですから、ほとんど指される記者は決まっています。私なんかも「指されないと思うよ」と言われながらも、色々目立とうとして手を挙げても絶対指されません。でも、NHKの政治記者さんは手も挙げてないのに指される。ビデオジャーナリストの神保哲生さん(56)も、ずっと手を挙げ続けているのに絶対指されない。ある日、長谷川栄一さん(66)という有名な報道官、司会者がいるんですけれども、彼が「誰か(質問者)いますかあ?」と言うから、神保さんハッと手を挙げた。手を挙げたのは神保さんだけだったんですが、「いませんね、終わります」って……視野にも入ってない。東京新聞が司会進行の幹事役になった時には、2問ぐらい聞けるんです。そうでない時は、東京新聞政治部は、まず指されないと聞いています。

――ちょっと言いすぎかなってところは「と聞いてます」と逃げ口を作るのも上手い。そして話は、ぶら下がり取材に。

望月:官邸会見だけでなく、よくぶら下がりってやります。例えば財務省の改ざん疑惑が出てきた時に、安倍さんが来たぞーって集まって囲むわけです。安倍さんが「徹底捜査を指揮いたしました。膿を出し切ります」って……「(安倍さん)膿はお前だ!」(場内爆笑と拍手)って絶対ツッコみたいですよね。

 だけど、かつて小泉政権の時には飯島勲秘書官(72)が「ぶらさがり朝夕やりま~す」って、朝も夕方も何回も何回もやったんです。これは小泉(純一郎)さん(76)が、自分が会見によって人気を高めていくことができるという話術の自信があったからです。株価がドーンと下がった時も、番記者が「株価が下がりましたが、大丈夫ですか?」と聞くと、「え、下がった? なら今が買い時だね!」つって。

 それが民主党政権になると、鳩山(由起夫)首相(71)が沖縄基地に関して「最低でも県外」と思わず言ってしまって足を引っ張られることになったり、そういうことが続きまして、菅直人さん(71)の時に朝夕のぶら下がりが実質的になくなっちゃったんです。

 もし、去年の籠池(泰典)さん(65)が逮捕される前、“もりかけフィーバー”がブワーッとなっていた頃に、「小泉さんの時のような朝夕のぶら下がりが毎日あれば、おそらく安倍さんは持たなかったんではないか」という話はよく聞きます。

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