「中野サンプラザ」解体めぐり攻防 音楽業界からも惜しむ声

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 新宿区に隣接する中野区では中野サンプラザの解体を巡り、区と地元商店街との間で攻防戦が繰り広げられているという。

 コトの発端は、4月5日に開かれた中野区の記者会見。そこで、田中大輔区長(66)が2024年をメドに中野区役所と中野サンプラザを取り壊して、その跡地に1万人収容可能なアリーナを建設すると表明したのだ。

「うちの商店街は全会一致で、解体に反対です」

 こう憤りを隠さないのは、中野北口昭和新道商店街会長の長谷部智明氏だ。

「中野で生まれ育った者にとって、中野サンプラザは唯一無二の存在。老朽化といっても、それほど大きな問題はないし、経営も順調だと聞いています」

 1973年開業の中野サンプラザは、旧労働省所管の雇用促進事業団の所有だったが、民間に売却。14年前に「株式会社中野サンプラザ」が設立されて、毎年1億円程度の利益を上げている。中野区の政界関係者によれば、

「中野サンプラザは音響施設が充実し、歌手の山下達郎など多くのアーティストがファンで、音楽業界からも解体を惜しむ声は少なくありません」

 田中区長の解体表明後、ロックバンド・爆風スランプで活躍したサンプラザ中野くんもツイッターで、“解体するなら、俺が買いたい”と呟いている。

 中野区では来月10日投票、11日開票の区長選が実施され、アリーナ建設の是非が最大の争点になっている。5期目を狙う田中区長の他に3人が名乗りを上げているが、

「中野区長選は、田中区長誕生前後から投票率が低下しています。前回選挙の投票率は29・49%で、田中区長の得票数は次点と6562票差。投票率が上がれば、現職といえども楽勝とはいえません」(同)

 解体阻止には、ラストチャンスかもしれない。

週刊新潮 2018年5月24日号掲載

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