闇に葬られた「新生児取り違え事件」 厚労省をダシにした「順天堂大学」隠ぺいの証拠

社会週刊新潮 2018年4月26日号掲載

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“厚労省には医療事故として…”

 加藤勝信厚生労働相が閣議後の記者会見で、この取り違え事件に触れたのは4月13日のことだった。順天堂医院から11日、51年前の取り違えについて関東信越厚生局を通じて報告があったと語ったのだが、これに憤慨したのは小林さんである。

「すると、話し合いの際に私が順天堂側から聞かされてきた話は、真っ赤なウソだったのですね。私は順天堂から、厚労省にちゃんと報告するのだから、取り違えを公表しなくても隠ぺいにはならないと説得されたのです」

 小林さんは順天堂側との交渉を録音していた。それを聞かせてもらうと、たしかに16年7月4日、順天堂医院内で行われた話し合いで、順天堂の医師が小林さんにこう話している。

「厚労省にはやはり医療事故として届けるべきであろうと。(中略)ちゃんと報告しておくことによって“隠れて私たちがやっているわけではないんだ”ということをですね、“公にはしないけれども、隠れてやっているわけじゃないんだ”ということを、私たちも立場をそう取りたいな、ということで話が出ました。(中略)医政局の事務次(ママ)官に報告することによって、“聞いていました”と。そうすることによって“外に大きく出ないということは保証する”と。“その代わり報告はしてください”と、そういうことが出ましたので、一応、そういうほうで私たちは動くんですけど」

 少し解説が必要だろう。要は順天堂は、取り違えの事実を厚労省医政局に報告する、と小林さんに伝えているのだ。内々に厚労省に打診すると、必ずしも公にしなくてよいが、必ず報告するように求められた。だから報告するので、われわれは被害者と「隠れて」交渉していることにはならず、順天堂が事実を隠ぺいしているという指弾は当たらない――。小林さんをそう論難しているのだ。

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