“脱獄囚”発生の「松山刑務所大井造船作業場」 実は「恐怖の刑務所」

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軍隊より厳しい刑務所!?

 こうした歴史から、「受刑囚の自由を認めることで、高い社会復帰率を達成しているが、その分、脱走のリスクも高い」と認識する人は多いだろう。事実、そういう方向性での報道も目立つ。

 ところが、大井造船作業場は、もう1つの“悪名”を持つ。実は“犯罪者”の間では「日本で最も厳しく、最も恐ろしい刑務所」とも呼ばれているのだ。

 たしかにウィキペディアの「松山刑務所大井造船作業場」の項目を見てみると、

・軍隊以上の規律正しい生活
・些細なミスでも厳しく指導を受ける
・睡眠時以外は常に緊張を強いられる

といった文言が並ぶ。

 大井造船作業場の出所者にインタビューを行った雑誌がある。月刊誌「実話ナックルズ」(ミリオン出版)の17年11月号に「(告白)“塀のない刑務所”の血の掟を見た――松山刑務所大井造船作業場 恐怖の現場」(取材・文=鈴木ユーリ)との記事が掲載されている。要点を紹介させてもらおう。

・他の刑務所に比べると半分の刑期で仮釈放となる
・土日にレクリエーションがあり、約1時間の海水浴や、花火大会も屋上から見物できる
・面会も1時間自由に喋ることができ、差し入れも普通の刑務所より自由

 なんだ、やっぱり「受刑者を信頼している」刑務所ではないか、と思っていると、次第に内容が変わっていく。

・上限40人のため選抜が厳しい。20代から40代の初犯の模範囚に限り、刺青はNG
・作業場に到着すると、いきなりぶっ倒れるまで「どうもすみませんでした」と謝らされ続ける厳しい“シゴキ”が行われる。初日で「松山刑務所に帰してください」と泣きつく受刑囚も珍しくない
・先輩への口答えは厳禁。先輩が後輩に“ヤキを入れる”場面も散見される

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