淑女5人に1人が困っている「カンジダ」の大きな誤解

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7割が“間違った対処”を

 現在、膣カンジダを発症した人は、まず医療機関で診断を受け、続いて医療用医薬品を処方してもらう流れとなるのだが、再発時に限っては、同じく抗真菌剤を配合した市販薬が購入できる。再発治療薬を手がける佐藤製薬に聞くと、

「かつてバイエル薬品が10代から50代の女性を対象に行った調査では、女性の約2割が膣カンジダを経験していました。ところが、病気への知識不足などのため、市販の痒み止めを塗るなど、患者さんの約7割が間違った対処をしているのが現状です」(広報部)

 というのだ。2011年に発売された同社の「エンぺシドL」は、

「他社の油性タイプの膣坐薬とは異なり、水に反応する発泡錠で、抗真菌作用を持つ有効成分が効果的に膣内に行き渡ります。ただし、これを6日間連続で使用し、それでも改善しなければ、再び医療機関に行っていただくことになります」(同)

 再発率が高いため、完治したところで気を抜けない。実際に発症し、その後も繰り返し悩まされた経験を持つのは、漫画家の花津ハナヨ氏である。

「20歳ぐらいのとき、突然に燃えるような痛痒さを感じて、それを我慢しながら漫画を描いていました。当時はまだ男性経験がなかったのですが、場所が場所だけに周囲にも相談できなかった。自分でも病気とは思わず、知識もなかったので、友人からもらった海外土産の『タイガーバーム』を塗ったりして、より悪化してしまいましたね」

 それから数年後、ネット上のチャットで悩みを打ち明けたところ、

「『膣カンジダかも』と言われ、初めて知って病院へ行くと、その通りでした。以来数年間は、1~2年に1回は症状が出て、そのたび対症療法的にクリームを塗っていたのです」

 再発は、風邪や睡眠不足といった体調不良の時が多かったという。

「きちんと治療したのは30歳の頃でした。続けて5日ほど通院して膣坐薬で治し、現在まで10年以上再発していません。それは薬とともに、生活習慣の改善も大きかったと思います。何しろ20代は締め切り前に徹夜が続くことも多く、食事もろくに摂れなかった。完全に昼夜逆転でしたが、今は子どももいるので早寝早起きの毎日。もちろん食事のバランスにも気をつけています」

 どうやら“卒業”したらしい花津氏は、

「経験を踏まえてアドバイスするなら『恥ずかしがらずに早く病院へ』です。たとえ再発しても、今は市販薬があるから最初の1回だけ通院して、あとは薬局で済む。私の頃と比べたら、いい時代になりましたよ」

週刊新潮 2018年3月29日号掲載

特集「いい大人が今さら訊けない『深刻な病』」

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