オウム死刑囚13人の同時執行は無理 法務省「7人移送」本当の狙い

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1日に13人の死刑執行は非現実的?

 これまでオウム死刑囚の13人は全員、東京拘置所(葛飾区小菅)で収監されていた。現場の負担は相当なものがあったようだ。共同通信の「オウム死刑囚7人の移送完了 法務省『共犯分離が目的』」(3月15日)には、以下のような一節がある。

《これまで東京拘置所に13人を収容していたが、(編集部註:法務省によると)「組織的犯罪を引き起こしており、運動や面会の際に接触しないよう神経を使って調整していた」》

 しかし裁判は終わり、いよいよ死刑執行の段階を迎えた。執行できる施設は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の拘置所で7箇所。確かに1拘置所で1日2人を死刑に処すれば、13人の同時執行は不可能ではない。

 だが、先の表を見ていただきたい。今回の移送先に札幌拘置所は含まれていない。また「死刑の同時執行」が狙いなら、東京拘置所に6人の確定死刑囚が残されたことも理屈に合わない。何よりも1日に13人の死刑を同時執行したとなると、世界的な大ニュースとなるのは確実だ。その反響は大きすぎる。法務省としては、できることなら避けたいに違いない。

 実際、産経新聞が3月20日の朝刊に掲載した「地下鉄サリン23年 執行準備か分離目的か オウム死刑囚移送に広がる観測」の記事には、次のような一節がある。

《(編集部註:法務省)幹部は「同時執行は原則ではない」と断言し、少人数を先に執行することに含みを残す。共犯者が同時執行された例は2人まで。オウム真理教事件のように、共犯死刑囚が13人もいる事件は前例がない》

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