パスタ、ラーメン、ホットドッグ…“大衆食堂”化する「ミスタードーナツ」の苦境

ビジネス 企業・業界

  • ブックマーク

Advertisement

なぜ日本人はドーナツを好まないのか?

 アメリカではミスドとダンキンは併存し、合併しても存続できるだけの市場規模があるわけだ。だが日本では、ミスドとダンキンの合併どころか、共存すらできなかった。単純に考えれば、日本のドーナツ市場はアメリカの2分の1だ。おそらく、日米の実際の差は、もっとあるに違いない。

「結局、この時点で日本におけるドーナツ市場の限界点は見えていたのかもしれません。ミスドは日本におけるフランチャイズビジネスの嚆矢となった1社です。加盟店が非常に多く、とにかくフランチャイズのオーナーに儲かってもらう必要があった。90年代にミスドは中華の点心を出すようになり、これは今でも続いています。ドーナツだけでは日本の顧客を掴むことができないのです。その証拠に2006年にはクリスピー・クリーム・ドーナツが日本に上陸しますが、こちらも撤退傾向です。そして13年にはセブン-イレブンでもドーナツが販売されますが、これも期待されたほどではなかったのはご存知の通りです」(同・外食産業関係者)

 老若男女に愛されるイメージのあるドーナツだが、日本の現実は違う。なぜ日本でドーナツが売れないのだろうか?

「少なくとも現在、食事のトレンドは『糖質制限』の時代です。でんぷん質と砂糖が敬遠され、両方を含むドーナツは需要が低下しているでしょう。ビールやラーメンでさえも糖質オフや糖質ゼロの商品が発売され、手堅い需要が証明されています。ミスドが直面している状況は、かなり厳しいと言わざるを得ません。フードメニューの拡充は“迷走”と揶揄されて当然だと思いますが、他に有効な手もないでしょう。客を取り戻すためには『100円セール』の復活も考えられますが、利益率が低下するのは目に見えています」(同・外食産業関係者)

次ページ:低価格帯の限界?

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[4/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。