パスタ、ラーメン、ホットドッグ…“大衆食堂”化する「ミスタードーナツ」の苦境

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低価格帯の限界?

 こうした顧客の志向から、近年は健康的なイメージを強く打ち出して人気を博している新興のドーナツ・チェーングループがある。「はらドーナツ」(大阪市北区菅原町)は小麦粉だけでなく豆乳とおからを加えており、どれも国産を謳っている。

 ライバル視されることもあるのは「フロレスタ」(大阪市浪速区日本橋)だ。両者とも大阪市というのが面白いが、こちらも「できるだけ国産、有機の材料を使います」と宣言している。「はらドーナツ」も「フロレスタ」も「無添加ドーナツ」と形容されることもあるようだ。

 近年、外食産業では「メニューの多様化」がキーワードだという。かつては牛丼中心の吉野家が消費者に飽きられたのが好例だ。ライバル松屋に対抗するためにも定食やセットメニューを増やさなければならない。今の消費者は「選択肢の多い店」を好むのだ。

 ミスドにとっては「ドーナツ一筋50年」といったキャッチフレーズが通用しなくなっている。メニューを増やさないと飽きられ、増やしたら迷走と指摘される。関係者の苦労は察するにあまりある。

「一般的なドーナツ市場は限界点に達していると見るべきでしょう。これを打破しようとすると、低価格競争を挑むしかありません。しかしながら、クオリティを劣化される危険性があり、ブランドを毀損する懸念があります。一方で『はらドーナツ』や『フロレスタ』の人気を見ると、6個200円の商品を買う層と、6個2000円の商品を買う層に二極化していることが分かります。『モノを消費するのではなく、価値を重視するコト消費の時代が来る』と言われて久しいですが、遂にチェーンビジネスの世界でもコト消費が人気を呼ぶようになってきたのかもしれません」(同・外食産業関係者)

 ミスドの苦境は、八方塞がりと評していいレベルなのだろうか。そして当然ながら、消費者がミスドの苦しさを忖度してくれるはずもない。非常にシビアだ。Twitterで「ミスド パスタ」と検索してみると、賛否両論が拮抗している。ミスドにとっては今年、早くも正念場を迎えたかもしれない。

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週刊新潮WEB取材班

2018年3月17日掲載

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