バーボンには大福が合う? 「HONZ」代表・成毛眞氏が勧める意外な組み合わせ

社会 2017年5月2日掲載

「なぜこれまで粟大福という最高の相棒なしにバーボンを飲んでいたのか、自分の過去を呪いたくなった」と成毛さん

 売り上げが低迷するビールに対し、ハイボール人気もあって持ち直しているというウィスキー。国産のものは「ジャパニーズ・ウィスキー」と呼ばれて海外でも評価が上がってきており、英「ウィスキー・マガジン」誌のコンテストでは本国のスコッチよりも高い評価を得るまでになっているそうだ。

 ジャパニーズもスコッチも原材料は麦。ほかに原産国別にカナディアン、アイリッシュという種類もあり、トウモロコシをメイン材料にして作るのがアメリカンで、よく知られるのがバーボンだ。ウィスキーをソーダで割る飲み方「ハイボール」は、元々バーボンから始まったという説もある。

 さて、自宅でバーボンを飲む際のツマミは、渇きモノ、ピーナッツあたりが定番だろうが、ここで意外な組み合わせを提唱するのが、HONZ代表の成毛眞さんだ。

 目下、家でバーボンのハイボールにハマっているという成毛さんによると、バーボンのお供に最適なのは、和菓子の「粟大福(あわだいふく)」だというのだ。

 普通の大福はあんを米の餅でくるんでいるが、粟を混ぜた粟餅でくるんだのが粟大福だ。

 そもそもなぜそんな組み合わせを「発見」したのか。いきさつを新著『コスパ飯』から紹介しよう(以下、「 」内は同書から引用)。

 元々、甘いものはそれほど好きではない成毛さん。それを知って食後のお菓子はあまり勧めてこない夫人が、ある日、口癖の「これがおいしいのよね」という独り言と共に食べていたのが粟大福。そして甘いものは数あるのに、ある時期、「これ」が立て続けに粟大福だったという。

 その様子をいつもバーボンを片手に眺めていた成毛さんは、「そこまでおいしいというのなら、私もお相伴にあずかろうと思ってしまった」。

 菓子楊枝で粟大福をほんの一口、そしてバーボンを含むと「あまりにぴったり」。相性の良さに驚愕した。

「なぜこれまで粟大福という最高の相棒なしにバーボンを飲んでいたのか、自分の過去を呪いたくなった」

 以来、なんと自分でおいしい粟大福を求めてデパ地下などを巡るようになった。

 粟大福は日持ちしない生菓子なので、不意の用事などで期限までに食べきれなさそうな分は、泣く泣く冷凍庫に保存した。多少、風味は落ちても、解凍したら食べられるだろう――。

「その夜、私は冷凍庫で冷え切った粟大福をごくわずかな時間、レンジでチンした。それをそのまま食べてもよかったのかもしれない。しかしそこで私は焼いてみようと思った」

 フライパンを使って焼き上げたそれは、

「ソフトフランスパンのように控えめに香る薄い皮は軽く塩が利いていて、そのすぐ下に潜んでいる粟のふんわりとした食感は郷愁をそそる。うまい。それを受けとめるほどよい粒あんの優しさはまるで私を泣かせようとしているかのようだ」

 すかさず、バーボンのグラスを口に運ぶと「ああ、もう、ヤバいなんてもんじゃない」。

 意外な組み合わせだが、ここまで言われると試したくなるのが人情というものだろう。

 担当編集者は半信半疑で試してみたが「たしかに合う」と思ったという。

 ただ、心得としては「粟大福をちびちびとやりながらバーボンをちびちび」がいいそうなので、食べ過ぎ飲み過ぎにはご注意を。

デイリー新潮