カタログ廃棄処分だけじゃない! 中国で大人気「無印良品」を悩ます受難の歴史

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商標裁判で勝訴

「無印良品が中国本土に出店したのは2005年6月のこと。すでに香港には1991年に出店しており、それまでのゴテゴテした、『いかにも中国風』とは一線を画すシンプルなデザインが若者にウケて、その人気は大陸にも飛び火しました」(経済誌記者)

 だが、出店に当たって問題があった。無印良品の人気ぶりに目をつけた香港企業に、衣料部門で“無印良品”と“MUJI”を中国で商標登録されてしまったのだ。

「無印良品は2000年に商標取り消しを求めて裁判に訴えた。その係争中に大陸に出店したわけですが、店には衣料品を置くことができませんでした。裁判は07年に結審し、無印良品の勝訴。あの中国が商標取り消しを認めた初めてのケースと言われています」(同・経済誌記者)

 裁判では商標法第31条「商標の出願は先に存在する他人の権利を侵害してはならない。他人が先に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で登録してはならない」の解釈を巡って争われたという。中国の裁判所も当たり前の判断ができることにホッとするが、その上で“商標”を“尖閣諸島”に置き換えてみれば、“問題地図”の処分もおかしいことが分かりそうなものだが――。

 それ以降、無印良品は続々と出店をし、年30店舗のペースで増えている。だが、その人気ぶりから出てきたのが、中国名物の偽ブランドだ。

「イタチごっこは今も続いていますが、無印良品が正式にリリースを出したのは08年3月の“中国における『無印良品』『MUJI』ニセ物と非正規商品についての注意喚起”です。工場から出た不合格品の流出と、ニセ物として製造された物が市場に出てしまうことがどうしても阻止できない。そのうえで直営店や正規のネットで買うよう訴えたもので、中国での商売の難しさが分かります。また、この頃には、百貨店にニセ店舗まで出ていたようで、それも百貨店への苦情で解決させたようです」(同・経済誌記者)

 現在、中国人女性に大人気なのが、無印良品の化粧水や乳液で、通販サイトで大量にニセ物が出回っているという。中には本物よりも高い値段で売られているものまであり、かの国の女性向けサイトでは本物とニセ物の見分け方などが記事になったりもしている。

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