中国の「日本企業いじめ」はここまでひどい! チャイナハラスメントの恐ろしすぎる実態(1)

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■えげつない嫌がらせの数々

 最近では成長がやや減速しているものの、それでも「中国には大きな可能性がある」と考えている日本企業は少なくないだろう。しかし、もはやそんな幻想は捨てた方がいい。スズキの元中国代表だった松原邦久氏が著した『チャイナハラスメント 中国にむしられる日本企業』(新潮新書)に描かれているのは、中国進出した日本企業が味わわされる理不尽な仕打ちの数々である。タイトルにある「チャイナハラスメント」とは、日本企業をターゲットにした嫌がらせのことだ。その実態はあまりにえげつない。

 2012年の反日暴動の際、市民による日本企業への攻撃が野放しにされたように、「反日」に傾く世論を気にする共産党にとって、中国に進出した日本企業は格好の「いじめの標的」なのである。

 例えば自動車業界を見てみると、世界シェアトップのトヨタが中国ではGMの3分の1のシェアしかとれていない。これはなぜか。実は日本の自動車メーカーにだけ、「車台をつくる合弁会社とエンジンをつくる合弁会社は別の資本とすること」という規制がかけられてきたからだ。

 車台をつくる会社とエンジンをつくる会社が別々の資本になっていたら、車をつくるたびにいちいち煩雑な交渉をしなければならない。日本のメーカーがそうやって時間をとられているうちに、GMやフォルクスワーゲンなど、中国に一足早く進出した欧米のメーカーに先を越されてしまったのである。

 日本車各メーカーの中国進出は、欧米メーカーよりもワンテンポ遅れた。中国経済にバラ色の幻想が満ちていた当時、進出の遅れた日本企業への事実上の「懲罰」として採用されたのが、この合弁会社への資本規制だった。

 当然ながら、欧米の自動車メーカーに、こうした規制は存在していない。

■日本の軽自動車をターゲットにしたデタラメ規制

 合弁会社への資本規制は共産党中央政府の決定だが、「日本企業いじめ」の規制なら地方政府も負けていない。

 上海市は2001年、排気量1000cc以下の自動車は「黄浦江をくぐる海底トンネルの通行禁止」「ラッシュ時の高架道路乗り入れ禁止」という決定をした。事実上、「軽自動車は上海に入るな」ということである。

 上海市はこの決定の理由を「交通渋滞を解消するため」としたが、本当の理由が上海に本拠を置くGMとフォルクスワーゲンを利することにあったのは明白である。本当に交通渋滞を解消したいのであれば、軽自動車ではなく普通乗用車や大型車を規制した方がよっぽど効果的なのだから。

 上海の上を行くトンデモ規制を導入したのが広州市である。広州ではなんと、2001年8月から1000cc以下の自動車の販売が禁止され、その後、主要幹線道路への乗り入れまで禁止になってしまったのである。理由は「中国の南の玄関口である広州に小さな車が走るのは似合わないから」という、役人の勝手な理屈以外に全く根拠のないもの。

 この影響をもろに受けたのが、沿岸部から離れた内陸の重慶市で軽自動車「アルト」をつくっていたスズキである。その現地合弁会社(長安鈴木)の総経理だった著者の松原氏は、「さすが中国、と皮肉の一つも言いたくなる」と記しているが、それも無理からぬところだろう。

 ちなみに中央政府は、こうした地方政府による恣意的な規制を「違法である」としているが、なかなかなくならないのが実態だ。

デイリー新潮編集部

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