職場不倫は誰もが巻き込まれる――AV出身「元日経記者」の警告

社会週刊新潮 2017年12月28日掲載

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職場不倫は誰もが巻き込まれる――鈴木涼美(上)

 昨年も週刊誌やワイドショーを騒がせた不倫スキャンダル。今や著名人のみならず、職場を舞台に誰もが巻き込まれるものになった、そう語る筆者が、トラブルになりやすい事例を挙げながら、自身の体験を綴った。危険な恋路に踏み入らんとする貴方への諫(いさ)めとして。

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 テレビや週刊誌で「不倫」の文字を見るようになって久しく、「最近、不倫に厳しすぎるよね」なんていうコメントも聞くようになってこれまた久しい。厳しすぎるかどうかは別としても、失楽園や昼顔のブームからベッキー旋風・乙武フィーバーに至るまで、人の不倫への執着というのがある意味、狂気じみているのは間違いない。

 人は不倫が大好きで、大嫌いなのである。

 最近では今井絵理子参院議員、山尾志桜里衆院議員と続いた不倫報道で、政界の酒池肉林っぷりが世間の想像力を掻き立てている。

 不倫など、今に始まったものではもちろんなく、与謝野晶子も伊藤野枝もしていたし、世界を見渡せば現代においても一夫一妻制度の枠組みにとらわれない社会は多く存在する。しかし、例えば今井氏や山尾氏のような、仕事上の付き合いから発展する職場不倫というのは現代的な現象である。

 かくいう私も、職場不倫というものと無縁の人生ではなかった。まずは読者のオジサマ方への自己紹介も兼ねて、私の人生と不倫経験について駆け足でお話ししておこうと思う。

「社外評価重視型」と「社内評価重視型」

 私はかつて日本経済新聞で記者として働いていたことがある。これについては数年前に「元日経新聞記者はAV女優だった」という文春砲を見た記憶がある方もいるかもしれない。日経新聞に入社する以前の話だが、私は慶応大学在学中、キャバクラ嬢をしながらAVデビューし、その後、東京大学大学院で社会学を専攻、当時の修士論文である「AV女優の社会学」を後に書籍化した。とりあえず、良い子と悪い子のお手本のような人生を歩んできた。現在はフリーランスで本やコラムを書く仕事をしているが、たまにテレビに出演するときなどは「東大AV女優」「日経AV記者」など、それぞれの大組織に怒られそうな肩書きで紹介される。

 さて、話を日経記者時代に戻すと、6年目で退社するまで、都庁や総務省の記者クラブに所属する担当記者として仕事をこなしていた。

 現在私はイキオクレのレッテルを貼られてもおかしくない34歳になってしまったが、当時は、私も企業の中で、「別に結婚したくないわけでもないけど、すごくしたいかというと微妙」と思っている、経済的にそこそこ自立したありふれた女性社員として働いていた。新聞記者という仕事柄、出会う人は会社内だけでなく取材先、同業他社の記者など結構な数だったし、私自身、モデルの中にいればブスだが新聞記者としては相当可愛かったので、職場で食事や飲みに誘われるという経験は結構した。

 8月に上梓した拙著『おじさんメモリアル』(扶桑社刊)でも触れたが、会社員の、特に女性社員の生き様は、大きく分けて、2つ。社外評価重視型と社内評価重視型がある。新聞記者で言えば、上司に気に入られて出世するか、取材先に気に入られて特ダネをとるか。もちろん、理想は両方完璧、という状態だが、真面目に両立しようとすると、忙殺され自分が追い詰められる。どちらを選ぶか、早い段階で決めておくと比較的楽に生きられるので後輩にはそのように推奨したい。

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