「平均寿命」は並でも「健康寿命」は日本一! 最強の健康長寿「山梨県」

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郷土食「ほうとう」

 だが、これらの健康寿命への効果は、具体的には測れない。一方、郷土食「ほうとう」には「裏づけ」があるという。先の勝沼の男性はほうとうを、

「私はあまり食べない」

 と話すが、それでも、

「月に1回程度で、作れば2日にわたって食べます」

 山縣教授らが山梨県の高齢者を、日常生活活動(ADL)の「維持群」と「低下群」に分けて調査したところ、ADL維持群にはほうとうをよく食べる人が多かったという。

「ほうとうの長所は、抗がん作用のあるイソフラボンが入っているし、野菜を一緒に摂れることなどが挙げられますが、みそには塩分も多く、プラスマイナスでゼロだと思います。なにがよいのかというと、大きい鍋で作って、人とコミュニケーションを取りながら食べられる。そういう食生活がいいのです」

 その影響か、山梨は1日に食事にかける時間が平均で2時間近く、47都道府県で最も長い。家族団欒に生きがいを感じる高齢者が多く、ゆっくり咀嚼(そしゃく)するので食べすぎることが少ない、という指摘もある。みんなで一緒に食べるのは、短命県である青森の大皿文化と共通しているが、

「野菜が少なく、塩分が多い料理ばかりが大皿に並んでいたらよくない」(同)

 たしかに山梨県の野菜摂取量は、男女ともに全国6位。ほうとうのおかげだろうか、野菜はよく摂っている。しかし、ほうとうの“効力”は、野菜云々よりもコミュニケーションのほうにあるらしい。

(下)へつづく

週刊新潮 2018年1月25日号掲載

特集「『平均寿命』は並でも『健康寿命』は日本一! 戦国最強だった『山梨県』のDNA」より

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