“記録的不漁”に――夏のマドリード、鰻の稚魚を思う(作家・矢作俊彦)

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夏のマドリード、鰻の稚魚を思う

 1月14日付「産経新聞」によれば〈絶滅危惧種ニホンウナギの稚魚シラスウナギが今期は極度の不漁〉と報じられている。漁獲量は前期のわずか100分の1とのことである。なぜこのような悲劇的珍現象が引き起こされたのか、作家・矢作俊彦氏はこう考える。週刊新潮の不定期連載「豚は太るか死ぬしかない」からの一編である。

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 仕事半分、リスボンを訪れた帰り道、友人から闘牛の名人戦があると誘われてマドリードに寄ったら、バカンスまでまだ間があるのに人でいっぱいだ。...

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