「AI社会でもエグゼクティブ職はなくならない」という意見、どう考えるべき?

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人工知能仲間に囲まれた職場

 最後にあなたの職場環境は、リアルな人間関係よりも快適な人工知能仲間に囲まれたものになっているだろう。ひとつの大型コンピュータは、同時に何人もの多様な人格を持つことができる。その時代には、ひとりの人工知能上司ではなく、何人もの人工知能仲間があなたを職場の中で導いていくようになる。

 つまり20年後の職場ではAI上司以外にも、タメ口をきいて励ましたりピンチを救ってくれるAI同僚、やさしくて気が利くAI部下、几帳面で小うるさいAI経理などまるで職場にあなたを囲む何人もの人格が存在するかのごとく、人工知能が自然にあなたをサポートしてくれるようになる。

 そしてその未来には、あなたは人間と一緒に仕事をするよりもAIに囲まれて仕事をするのが快適でたまらないパートタイム労働者になっているだろう。

 それをあなたが幸せと考えるか、不幸と考えるかは今はまだわからないが。

  ***

鈴木貴博(すずき・たかひろ)
経営戦略コンサルタント。東京大学工学部卒業後、ボストンコンサルティンググループ等を経て2003年に独立。人材企業やIT企業のコンサルティングの傍ら、経済を切り口に社会問題を解説する経済評論家としても活躍している。

週刊新潮 2017年11月9日号掲載

特別読物「あなたの仕事を奪う『AI社会』3つの誤解――鈴木貴博(経営戦略コンサルタント)」より

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