「AI社会でもエグゼクティブ職はなくならない」という意見、どう考えるべき?

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AI上司、AI部下…

 まず裁判官が汎用人工知能に置き換わると言われている。裁判官というのは法律を詳しく知っているだけではなく、法律の解釈にあたって時代の考え方を反映させていく必要があるとても人間的な仕事だ。

 米国では同性婚とか人工中絶といった社会問題について、時代によって違う法律判断が下っている。これは政治や世論、国際常識がどう変わってきたかを裁判官が頭に入れているからである。

 実は今の段階の人工知能でも裁判官の役割を任せると、世間についてちゃんと学習をしたうえでかなりいい判決を下せるという研究結果がある。

 さらに難しい裁判、重要な裁判では人間の裁判官はどうしても保守的になる。日本ではかなりの確率で原告が涙をのんだり、数十年もの長い期間、司法の判断が下りないまま放置される。人間の裁判官は保身から判断を避けるのだ。

 もしそれらの点においても、人間の裁判官よりもずっと人間的な判断ができる人工知能裁判官が登場すれば、それが人間にとって代わる可能性は高いだろう。

 上司もいずれ汎用人工知能にとって代わられる。AI上司というとまるで杓子定規にしか判断ができないように感じるだろうが、そのころには人間的な理解力やコミュニケーション力の性能が上がっているのだ。

 一方で人間の世界では、出世する上司ほど責任を取らないことが知られている。巧妙にあなたや他の部署に責任をおしつけて、あたかも責任がなかったかのような処理ができる人間が有能な上司と呼ばれる。

 実際に開発される人工知能上司は、人間よりも責任を取る人工知能だ。なぜなら経営者は今の「有能な人間の上司たち」に辟易しているからだ。

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