脱北女性が見た北朝鮮核実験場「豊渓里」死の光景 研究員だった夫は歯がすべて抜け落ち…

韓国・北朝鮮週刊新潮 2017年12月14日号掲載

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脱北女性が見た北朝鮮核実験場「豊渓里」死の光景(上)

 風雲急を告げる半島で、史上最大規模の米韓合同演習が始まった。これに北朝鮮は「核戦争の前奏曲だ」と強く反発。次なる一手で、7度目の核実験を強行する可能性もあるという。その現場ではいったい何が起こっているのか。“唯一の脱北者”が見た死の光景――。

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「大きな爆発音が聞こえたのは、早朝のことでした。午前5時か6時頃だったでしょうか。地震のように家全体が大きく揺れ、ドスン、ドスンと窓に何か物が当る音が響きました。その直後、息子が大きな声で、

『ママ、ママ! 鳥が落ちて死んでいるよッ』

 と起こしに来たんです。確かに、外に出るとスズメやカササギなどの鳥たちが、空から落下してたくさん死んでいた。川を見れば、無数の魚たちが白い腹を出して浮かんでいて――」

――そう語る金平岡(キムピョンガン)氏は50代の脱北女性。今年の春、亡命先の韓国で小説『豊渓里(プンゲリ)』を上梓した。書名になった地名に聞き覚えのある方もいるだろう。かの地は、北朝鮮による6回すべての地下核実験が行われた、朝鮮半島北東部に位置する山村である。夫が核開発に携わるエリート技官だった彼女は、そこで暮らした経験を持つ“唯一の脱北者”なのだ。自らの体験を織り交ぜ記された著作は、未だ日本語訳はされていない。そこで本誌(「週刊新潮」)は、本に記されなかった内容を含め、謎に包まれた核実験場の実態を改めて紹介して貰った。冒頭の場面は、2006年に北朝鮮が初めて核実験に成功した際の様子だが、彼女はそこで起きた“異変”が、鳥や魚のみならずヒトにも及んでいたと振り返る。

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