脱北女性が見た北朝鮮核実験場「豊渓里」死の光景 研究員だった夫は歯がすべて抜け落ち…

韓国・北朝鮮週刊新潮 2017年12月14日号掲載

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鱗のような皮膚が剥がれ…

「核実験が行われる前から、私は40℃以上の高熱によるめまいに悩まされ、床に臥していることが多かったのです。息子も度々高熱で苦しむようになり、そのような症状は村全体に広がっていきました。高熱のあまり昏睡状態になる人、血便が止まらない人、リウマチ関節炎に苦しんだり、脳卒中で倒れる人もいた。診療所はありましたが多くの人たちは貧しかったですからね。キキョウやセリなど薬草とされる植物を煎じて飲んだり、身体に塗り込むなどしていた。多くの人が満足な治療も受けられず、次々と死に至ったのです。

 核実験後、坑道の中で調査に携わった軍人や研究員たちの方が、被曝による影響は大きかったと思います。

 実際、研究員だった私の夫は、10年ほど前に亡くなりました。医師からは肝臓がんと告げられましたが、放射線による影響は明らかでした。背が高く、笑う時に見せる白い歯が魅力的な美男子が、40歳の手前で歯がすべて抜け落ちたのです。それだけではありません。肌も黄色く変色し表面には幾重にも膿がたまっていました。服を脱ぐと鱗のようになった皮膚がバラバラと剥がれ、お尻の骨が見えるほど身体が腐っていった。人目を気にした夫は、自らピンセットで腐った肉を摘みとっていました。息が止まるほどの痛みに耐え、苦しみながら亡くなったのです……」

――金氏の夫は、平城市の科学大学を卒業後、国防科学院の技官となり、数々の研究成果が評価され賞金を授与されたこともあるエリートだった。

「核実験場では、常時50名ほどの研究員がおり、ロシア人や在日朝鮮人の科学者が混じっていたと聞いています。日本から来たある研究者は、その才能を買われ北に住むことを強いられていました」

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