WOWOWでドラマ化、「外務省機密費詐取事件」を暴いた刑事たち

エンタメ 芸能 週刊新潮 2017年11月16日号掲載

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巨悪は安眠の中に

 その汚職摘発は2014年に何とゼロ、翌15年は3件、16年は1件に過ぎなかった。今年は7月に成田国際空港会社の物品契約汚職で元上席執行役員らを、8月に山梨県山梨市長を職員採用不正汚職でそれぞれ逮捕したが、警視庁の『刑法犯の罪種別検挙件数』によると、賄賂の検挙件数は02年には36件もあったのである。1996年に厚生省の岡光序治事務次官汚職を、2001年には外務省機密費詐取事件を摘発し、霞が関の官僚たちを脅かした刑事たちはいま、大きな壁に突き当たっている。

「新聞を毎日見ていても、霞が関や東京のサンズイは挙がってない。これじゃ、大きなネズミは捕れない猫じゃねえか」と渋面を作る元刑事は一人や二人ではない。つまり、巨悪は安眠の中にいる、ということだ。今年の捜二OB会では、警察庁長官を務めた金髙雅仁が乾杯の音頭取りに立って、こんな挨拶をした。

「今、捜査二課を取り巻く状況は厳しい。(明白な)証拠を持っていかなければ、地検の検事は贈収賄事件を食って(立件して)くれない。そうした難しい問題はあるが、あらゆる手法を駆使して摘発に尽力して下さい」

 金髙は第38代捜査二課長で、岡光事務次官汚職事件の捜査指揮を取っている。

 検察庁も摘発数激減の傾向にあるとはいえ、二課OBたちは歯がゆくてならない。捜査二課の存在意義と捜査手法、さらに自分たちの後輩指導力が問われているからである。

「団塊の世代が一挙に退職して、若い刑事に捜査技術がうまく伝承されなかった」という反省があり(警視庁には「伝承官」というポストもあるのだが)、その一方で、「捜査の可視化や管理化が進み、型破りの捜査員が減った」という指摘もある。OB会に出席した元警部が言う。

「OB会に来た管理官や係長にいろいろ聞きたかったんだよ。ところが、現役の連中は一喝されるのが嫌なのか、俺たちのテーブルには近づいてこなかったな」

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