供養よりビジネス優先――名刹「ビル型納骨堂」で起きていた解任トラブル

社会週刊新潮 2017年11月9日神帰月増大号掲載

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「甘い販売計画」

 コンプラの関係から好正氏が表に立つことはなく、また好秀住職も高齢ということで、寺の全業務を任されていたのは秀芳氏だ。会社員生活を経て、父・好正氏に引っ張られる形で僧侶になったが、根が真面目で僧侶に馴染んでいた。

 秀芳氏が滑り出しを振り返る。

「お寺と納骨堂、二つを両立させたいと必死でした。朝6時半ごろ開門し、朝のお勤め(読経)を済ませると、日中は寺務を中心にしながら納骨堂販売の手伝いをし、夜7時に閉門です。土日は、納骨堂利用者の回忌法要が営まれるので、三座ほどを導師として務め、そのほかこれまでの檀家さんの法要、葬儀式も執り行っていました」

 まさに365日の勤務体制。ただ、初年度1億円の広告予算を投じ、積極的なPR活動を続けたが、多くて月30基、平均すると15〜20基が現実だった。利払いにも満たない。「甘い販売計画」がアダとなり、高利金融業でもあるタイヘイの追い込みは厳しさを増した。

 15年8月、販売開始から1年後、ついに利払いに窮し、タイヘイの紹介した業者からの1億円の借り入れを余儀なくされる。年利は10%。返済期限は9月末で1カ月後。秀芳氏は連帯保証人となったが、当然、返せない。

 タイヘイ担当者は、言葉は柔らかいものの、結果を出すよう秀芳氏に迫った。曰く、

「普通の金融機関の方が、追い込みはきついですよ。どっかに債権譲渡して、より厳しい追い込みをかけてきます。ただ、弊社としては、共同で腹蔵なくやっていきたい。いい販売計画を出してください」

 しかし、妙案が簡単に浮かぶわけもない。タイヘイの要求はますます厳しくなり、その提案で、虎の子の納骨堂を資金繰りに使うようになる。さまざまな業者に安値販売した。「利益の先食い」である。

 まさに自転車操業だ。一例をあげよう。15年11月に、都内金融業者との間で「納骨堂使用権売買契約」を結んだ。龍生院は、納骨堂使用権50基分を3000万円で売り渡すことになっていた。1基60万円、本来の半値である。

「この業者を紹介してくれたのもタイヘイです。担当と一緒に先方へ行き、同日、3000万円が入金され、2000万円がタイヘイへの利払いで消えました。3カ月後、延長の交渉に行きましたが、相手にされなかった」(秀芳氏)

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