夏帆、透明感あふれる演技で視聴者を魅了 「姫」収監の「監獄のお姫さま」第3話

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名バイプレイヤー猫背椿!

 刑務所内での「姫」に対するおばちゃんたちの面倒見のよさ、時に踏み込みすぎるおせっかいは、しのぶを励ましたり、追いつめたりする。そんな女囚たちの中で、ひときわ目を引くのは猫背椿演じる小島悠里だ。猫背は大人計画所属の俳優であり、舞台上での存在感と演技力はかねてより高く評価されている。クドカンのドラマ作品では「タイガー&ドラゴン」(2005)、「吾輩は主婦である」(2006)などに出演しており、今作では、高級しゃぶしゃぶ店の厨房で働いていた時に覚醒剤で逮捕されたことから通称「しゃぶ厨」と呼ばれている(第3話で、より深刻な依存症の囚人が収監されたため「小しゃぶ」に格下げ)役どころだ。時に女囚たちのなだめ役になり、所内のカラオケ大会では率先して号泣して盛り上げる。名バイプレイヤーとしての猫背の安定感が殺伐とした刑務所の描写をなごませている。

 板橋を信じて服役していたしのぶが、板橋の新恋人スキャンダルをテレビで目撃してしまい「あはは、裏切られたんだ。捨てられたんだ……」と笑いながら取り乱す場面も、透明感のある彼女の狂気がいっそうの哀れみを誘い、それゆえ視聴者の板橋への怒りが膨らむ名場面だった。その後、洗面所で吐くしのぶを見て、彼女の妊娠に気づいたカヨに、しのぶは初めて冤罪だと打ち明ける。

 板橋がどんな狡猾な手でしのぶを陥れたのかはまだ謎に包まれている。しかし百戦錬磨のおばちゃんたちの目は騙せない! 板橋の偽善っぷりを容赦ない誘導尋問で導く一連の監禁のシーンはコミカルで爽快だ。

 来週は女囚たちの過去が次々明かされ、監禁場所には検事の長谷川(塚本高史)も乱入し、ますますグルーヴィに、クドカン節が炸裂していくことが予感される。登場人物たちに次々スポットライトを当てては切り替える、リズミカルなShowtimeはまだこれからだ。

西野由季子(にしの・ゆきこ)(Twitter:@nishino_yukiko) フリーランサー。東京生まれ、ミッションスクール育ち、法学部卒。ITエンジニア10年、ライター3年、再びITエンジニアを経て、永遠の流れ者。新たな時代に誘われて、批評・編集・インタビュー、華麗に活躍。

2017年11月6日掲載

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