ボケの危機を半減! 米国生まれ「マインド食」とは

ドクター新潮 健康 食事

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 これまで、認知症予防に効果的な食事スタイルの研究が世界中で重ねられてきた。食生活こそ最強の防衛術と言えようが、とりわけ米国生まれの「マインド食」は、効果覿面(てきめん)だという。

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「ナッツ クリエイト」代表の管理栄養士・河口八重子氏が言う。

「米国ラッシュ大学で開発された、高血圧予防の『DASH食』と健康的な食事として名高い『地中海食』とのハイブリッド。頭文字を取ってMINDと称します。米医学誌『アルツハイマー病と認知症』に発表された研究では、実行した人はアルツハイマーの発症リスクが53%減少することがわかりました。また、ほどほどに実践した人でも35%下がっています」

 肝心の食材は葉野菜類、根菜類、豆類、全粒穀物、植物オイル、魚、鶏肉、ナッツ類、ベリー類、適量のワインの10種である。

「あくまで米国人向けに開発されたスタイルなので、日本の食材に置き換えればよいのです。ビタミンEが豊富なナッツ類は血管を強くすると言われており、日本ではクルミや落花生が身近で、薄皮も一緒に食べるのがお勧めです。豆類では豆腐がお馴染みですが、発酵食品でもある納豆や手軽に食べられる蒸し大豆などをサラダと一緒に食べるのもよいでしょう」

 一方、控えた方がよい食材としては赤身肉、バター、マーガリン、チーズ、お菓子類、ファストフードが挙げられる。と言っても、

「絶対にいけないというわけではありません。例えば、バターやマーガリンの代わりに時々、香りのよいオリーブオイルをパンにつけてみてはどうでしょうか」

“ほどほど”でも効果大なのは前述した通りだが、いずれにせよ肝要なのは、

「旬の食材を選ぶこと。冬が旬のほうれん草は、産地や栽培時期によってビタミンCなどの栄養価が数倍〜10倍近く異なります。また、1つの食材で調理法を変えて多様な食材と組み合わせるのも大切です。鶏肉は焼いてキャベツを付け合わせればビタミンCや食物繊維が摂れますし、鶏肉スープに、老化の原因となるAGE(終末糖化産物)の蓄積を抑える働きのあるキノコをたっぷり入れても美味しいです」

 あれこれ試すうち、より健康度の高い食生活に繋がっていくのだという。そこで、季節のレシピを一つ挙げて貰うと、

「魚のすり身の入った『うまみ鍋』です。魚が苦手な方でも食べやすく、うまみをより味わうことができます。そこに抗酸化物質が非常に多い大根の葉や、冷凍カボチャ、キノコなどを加えるとよいでしょう」

 味付けは水炊きで十分。

「最後に少々ユズを加えれば、香りが豊かになって五感を刺激します。便利な冷凍物なども店で探し、手先を使って楽しく料理することで、認知症予防に有効な、2つの課題を同時にこなす『デュアルタスクトレーニング』にもなります」

 一石二鳥というわけだ。

週刊新潮 2017年9月28日号掲載

特集「800万患者に朗報!早期発見から驚愕の新薬まで!! 『認知症』『アルツハイマー』最新防衛術」より

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