喫煙よりも寿命を縮める!? デスクワークは死亡リスク1.4倍! 全米ベストセラー作家の健康長寿の新常識「座らない!」

ライフ週刊新潮 2015年9月24日菊咲月増大号掲載

 パソコンのディスプレイと格闘するうち、職場の窓からは薄らと朝陽が差し込み始める。山積みの仕事は一向に減らないが、その反面、徹夜続きの生活は着実にあなたの体を蝕んでいた。全米ベストセラー作家が警告する「座り仕事」と「睡眠不足」がもたらす悪夢とは。

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 長い人類の歴史を振り返れば、命懸けで野生動物を追い掛け回したり、天災に怯えながら田畑を耕してきた時代が大半を占めることは言うまでもない。だが、ここ1世紀足らずの技術革新によって、我々は日の出と共に目覚め、日没に合わせて眠ることはおろか、進化を決定づけた“直立二足歩行”すら忘れつつある。

 冷暖房の効いた職場でのデスクワークが終われば、居酒屋で長っ尻し、帰宅後はソファーで寛ぎながら深夜までテレビやネット観賞に耽る――。そんな現代人にとって当たり前の生活が、知らず知らずのうちに我々の身体を蝕み続けていたのだ。

 人類が直面する新たな“病根”について警鐘を鳴らすのは、アメリカ在住のノンフィクションライター、トム・ラス氏。全世界で累計600万部以上の著作を売り上げたベストセラー作家の最新刊は、その名も『座らない!』(新潮社刊)である。

 彼は16歳の時、がん抑制遺伝子が機能しない遺伝性疾患と診断された。放っておけばがん細胞が増殖する体質と向き合い、様々な医学論文を読み漁りながら、健康習慣に関する取材を続けてきたという。

 その集大成に当たる本作には、日本人サラリーマンにとって耳の痛い指摘が溢れている。

 なかでも特筆すべきは、これまで我々がほとんど注意を払わなかった「座ること」、そして「眠らないこと」がもたらす健康リスクを大々的に取り上げた点だ。

 まず、彼が“健康にとって最大の敵”と言って憚らないのは、座ることが人体に及ぼす害悪である。

 ラス氏は作中でこう述べている。

〈平均すると、私たちは1日9・3時間も座っています。眠っている時間よりも座っている時間のほうが長いのです。人間の体はこのような環境に適応するようにつくられていません。結果として多くの人が肥満体になり、糖尿病を患うなど深刻な健康問題を引き起こしています。たとえ食事に気を付けて1日30分運動するのを日課にしても、毎日9時間以上の座位に伴う悪影響を相殺できません〉

 つまり、ただ座っているだけで我々の体には多大な負担が蓄積し続け、食生活の改善や適度な運動程度ではリカバーできないというわけだ。徹夜残業をはじめ、長時間の座り仕事が当たり前という向きには、俄かに信じ難い指摘だが、

「座り過ぎによる弊害は2000年以降、急速に注目を集めている研究分野です。これまでの調査から、“座り過ぎ生活”が、想像以上に健康を害することが分かってきました」

 そう語るのは、早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授である。

Dr.週刊新潮 2017 病気と健康の新知識

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