健康なうちに… お手軽「認知障害」検査を記者が体験

ドクター新潮 医療 認知症

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 ここでは、巷で受診可能な2つのリスク検査をご案内する。いずれも本誌(「週刊新潮」)記者が体験した上で、医師のカウンセリングも受診。はたして首尾は――。

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 リン酸化タウとともに脳に蓄積されるアミロイドβ。この厄介者の働きを抑える3種のたんぱく質の数値を調べ、リスク測定を行なうのが「MCI(軽度認知障害)スクリーニング検査」だ。実施している「MCBI」社に聞くと、

「加齢とともに3種の量は減少していきますが、数値が下がるということは毒性のあるアミロイドβを脳内から排除したり、結合して毒性を弱める機能が低下し、それが脳内に溜まりやすくなることを意味します。検査は当初1年間、パイロット的に医師の方々にご協力頂き、2015年4月から本格的に実用化されました」(事業本部の俵谷好法・業務執行役員)

 現在は全国1400の医療機関で検査が可能。5〜7㏄の血液を採取し、結果は2〜3週間で判明。費用は保険適用外で2万円ほど。正常のAから高リスクのDまで4段階で判定され、これまで累計でAは53%、Bは27%、CとD合わせて20%の割合だという。そこで本誌の50代喫煙者と40代非喫煙者の男性記者が検査したところ、結果はいずれもA判定。受診した「メディカルブランチ表参道」の古田一徳理事長によれば、

「結果は、年齢や生活習慣で変化していきます。現在55歳の私が3年前に初めて受けた時は何とC判定でしたが、その後、有酸素運動に取り組むなどし、半年後にはAになりました。MCIまでの期間であれば、改善は可能なのです」

 同時に受診できるのが「APOE遺伝子検査」。遺伝子の組み合わせにより先天的な認知症の発症リスクを調べるもので、こちらも費用は2万円程度。再びMCBIによれば、

「国内外の観察研究によって明らかになった認知症のリスク因子であるアポリポたんぱくE(ApoE)の遺伝子型を調べます。APOE2、APOE3、APOE4のうち、E4は発症リスクが高いとされ、両親から1つ受け継いだ『e2/4』や『e3/4』型では認知症の発症リスクは約3倍、2つ受け継いだ『e4/4』では発症リスクが約12倍といわれています」

 ちなみに日本人では「e3/4」は11・3%で「e4/4」は1・3%。本誌50代記者は日本人の72・1%と最多の「e3/3」型で、40代記者はリスク3倍とされる「e3/4」であった。

 前出の古田理事長は日頃の留意点として、

「体内に重金属が溜まると、活性酸素の濃度が上昇して認知症リスクが高まります。たばこを吸うとカドミウムやヒ素が、缶飲料を頻繁に口にするとアルミニウムが蓄積します。水銀もマグロなどに含まれていたり、銀歯から溶け出すこともある。これらは解毒しなければなりません。ニンニクやニラ、卵、ネギや果物などにはデトックス効果があり、当院では重金属を捕えて尿で排出する作用のあるαリポ酸のサプリも処方しています」

 健康なうちにこそ、リスクと向き合うべきなのだ。

週刊新潮 2017年9月28日号掲載

特集「800万患者に朗報!早期発見から驚愕の新薬まで!! 『認知症』『アルツハイマー』最新防衛術」より

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