「ひよっこ」で見せた独演 女優・白石加代子の凄さとは

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「松島の美しい島々、天橋立、安芸の宮島、北海道の毛ガニ、仙台の笹かまぼこ、茨城のアンコウ、(中略)土佐のカツオ、長崎のカステラ、阿蘇山のカルデラ、鹿児島の桜島……沖縄の青い海。そして1番は赤坂の桜……」

 全国の名物を北から南へズラ~ッと並べ立てたのは女優の白石加代子(75)。

 赤坂の元売れっ子芸者とは思えぬ容貌ながら、かつての恋人との思い出に浸りつつ、ゆったりと語るのだが、それが1話わずか15分しかないNHKの朝ドラ「ひよっこ」の中なのだから、かなりの長尺。主演の“みね子”こと有村架純(24)は畏まり、もう1人のベテラン宮本信子(72)だって立ち入れない、一人舞台に。

「9月2日の放送で、この日の視聴率は23.1%。長らく低視聴率と言われていた『ひよっこ』でしたが、みね子たちが寮を出て、アパートあかね荘の“大家の富さん”として白石さんが登場するようになった頃から20%超えの連続ですからね」(芸能記者)

 白石の凄さとは何だろうか。1992年から2014年まで演じられた一人語り「百物語」を演出した鴨下信一氏は言う。

「何といってもセリフ回しの上手さ。セリフ回しは習って出来るものじゃない、才能なんですよ。リズムが心地よく、お客に情景を喚起させる力があるんです。顔も迫力あるけれど、よくよく見ると左右がシンメトリーな美人顔です。若い頃は般若のお面みたいで……」

 褒めているのかどうか判然としないが、演劇評論家の萩尾瞳氏はこう分析する。

「かつては“狂気女優”といわれたこともあったそうですけど、ご本人はいたって可愛い方ですよ。年上をつかまえて失礼ですけど、外で出会ってもハグしてくるようなところもある、気さくな方。演技って結局、役者の本性が出るものですから、ドスのある役を演じてもあざとく感じないのは白石さんの芯の可愛さが感じ取れるからでしょうね」

 最終回も近いが、怪演はまだ見られるか?

週刊新潮 2017年9月14日号掲載

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