ついに村上世彰が得た“特等席” 「黒田電気」に送り込んだ人物は

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 旧通産省を退官後、村上世彰氏(57)が日本初といわれる敵対的買収を仕掛けてから17年。2002年にアパレルメーカー「東京スタイル」の株を買い占めて失敗したものの、一躍名を馳せることになり、その4年後に証券取引法違反容疑で逮捕された。これで引退したかに思えたが、ついに上場企業の“特等席”を勝ち取ったのだ。

 今年の株主総会の集中日は、6月29日。大阪に本店を置く、電子部品の専門商社「黒田電気」もその日を迎えていた。全国紙の経済部記者によれば、

「村上さんの個人資産を運用する『レノ』は2年前、黒田電気の発行済株式の約16%を買い占めました。その年の8月に開かれた臨時株主総会でレノは村上さんなど4人の社外取締役就任を要求。否決されましたが、その後も黒田電気株を買い増し、レノ名義とは別に村上さんの長女の絢さんが個人筆頭株主になっていました」

 今年の株主総会直前、レノは議決権ベースで37・52%まで引き上げたと公表。社外取締役1人の就任を提案し、賛成多数で可決されたのである。

「株主総会史上、画期的な勝利だと思います」

 こう興奮気味に語るのは、個人株主の1人だ。

「そもそも日本の株主総会では、企業の力が強くて株主提案が可決されることはおろか、議案になることさえ難しい。株主提案が可決されたこと自体が8年ぶりなのです。実は、これまで村上さんも株主提案を3回していたが全敗。黒田電気の株主総会で、レノの提案に賛成した割合は58・64%なので、一般株主もレノの提案を支持した計算になる。村上さんの勝利は、閉鎖的な株主総会を“破壊”した瞬間でした」

 黒田電気の2017年3月期決算を見ると、売上高は前期比19・6%減の2295億円。営業利益は12・6%減の70億円と、大幅な減収減益。つまり、黒田電気の経営悪化で一般株主もレノの主張に耳を貸し、支持したわけだ。

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