ヒアリ日本上陸 神戸に続き名古屋でも

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 ウェルカム! なんて言ってはいられない。

 英語の俗称はFire Ant、つまり火蟻は、その名の通り、刺されると火傷のような激しい痛みに襲われるという。体長わずか2・5ミリ〜6ミリ程度ながら、死の危険すらあるのだ。

 それを訴えてきたのは、環境省自然環境局 野生生物課 外来生物対策室だ。「ストップ・ザ・ヒアリ」と題した冊子(写真)を発行したのは平成21年のこと。

「南米原産のヒアリはすでに北米、オーストラリア、中国、台湾に定着し、日本へも時間の問題と考えられました」(外来生物対策室)

 予測は的中、8年後に上陸確認! 5月15日に中国広東省広州市の南沙港を出港した貨物船は20日、神戸港に入港。コンテナを陸揚げし、26日に陸路で尼崎市に運び、コンテナを開けるとアリの群れがいた。

「写真で見た限りですが、それはもうウジャウジャと数百匹はいました。ヒアリであることが確認されると、再び神戸へ運び燻蒸(くんじょう)消毒で全滅させたのです」(同)

 家電製品を輸入したコンテナが丸ごと燻蒸され、製品は廃棄処分となった。

 しかし6月16日、念のために調査したところ神戸市ポートアイランドの舗装面の亀裂に潜むヒアリを発見。全滅させるも、神戸市は「ヒアリ」対策本部を設置。

 繁殖し始めていないだろうか。関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は、

「神戸は100匹程度と言いますから、大丈夫と思いますが、他の港にも入る余地は十分にある。米、中、台、豪といずれも貿易は盛んですから。もし見つけても素手で触らないことです。ゴキブリやネズミ程度なら集団で食い殺してしまう攻撃的なアリで、人間が刺されるとアレルギー反応のアナフィラキシーショックを起こす危険があります」

 30日には、名古屋港でも発見が発表された。万が一、日本に定着したら活用法はあるだろうか。

「定着を望むものではありませんが実に興味はある」

 と、昆虫料理研究家の内山昭一氏はいうのだが……。

週刊新潮 2017年6月29日号掲載

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