師匠が語る「藤井聡太」闘争心の塊エピソード 将棋盤を抱え込んで悔し泣き
藤井聡太四段(14)を知る人の多くが指摘するのは、その負けん気の強さである。
「小学校の頃は本当によく泣いていましたよ」
と振り返るのは、師匠の杉本昌隆七段。
「将棋の才能も末恐ろしかったが、泣き方も尋常でなかった。負けると3回に1回は、将棋盤を枕みたいに抱え込み、顔を埋めて泣くんです。3分ほども続き、最後はお母さんが盤から引き剥がす。でも、次の対局にはコロッと集中できるんです」
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四段が小2の頃のこと。イベントで、谷川浩司九段と二枚落ちのハンディで対戦する機会があったという。
杉本七段が続ける。
「谷川九段の玉が自陣に入り、このまま続けても、もう藤井は勝つことが出来なくなった。イベントでこういうケースになった場合、普通は上手(うわて)の勝ちにするのですが、九段は優しいので、引き分けにしようと持ちかけてくれたんです。でも藤井はどうしても勝ちたかったのでしょう。“嫌だ!”と机に突っ伏して大泣きしてしまったのです」
谷川九段は十七世名人の資格を持つ斯界の大物。引き分けなら普通は大満足なのだが、やはり勝負師は、何歳でも勝負師なのである。
「研究会で師匠の私に勝っても喜びませんし、負けると非常に悔しがる。こないだ25連勝を決めた時も、メールで“作戦負けしていたかもね”と打つと、“そうですかね”と返信が来た。自分の納得しないことでは首を縦にふりません。負けず嫌いは将棋以外も同じで、研究会の後、残ったお菓子を誰が食べるかで、皆がじゃんけんをする。藤井は負けると、“チョキを出さなきゃよかった”などと本気で悔しがります」(同)
「闘争心の塊」と愛弟子をほめるのだ。
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