小池都知事がぶち上げた「自宅でも禁煙」条例 嫌煙ファッショで集票の狙い

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「私は改革に燃えている。同志がもっとほしい」

 来る都議選(6月23日告示、7月2日投開票)に向け、6月1日に開かれた都民ファーストの会の総決起大会で、代表の座に就いたばかりの小池百合子都知事(64)はこう熱く語った。

小池百合子都知事

 豊洲移転問題や五輪会場問題など、「先送りの女王」とでも言うべき彼女にどんな改革ができるのか判然としないが、何はともあれ、目下、小池氏が目を付けているのが「煙草」だ。都民ファーストは受動喫煙防止条例の制定を公約に掲げ、しかも子どもの命を守るとの名目のもと、子どものいる家庭内での禁煙まで目指すと、5月25日の記者会見で発表したのである。

 その是非は敢えて措(お)くとして、小池氏および都民ファーストが禁煙を唱えるのは勝手ではある。しかし、いくらなんでも家庭の中を条例で縛るのはいかがなものかと、疑問の声が上がっていることもまた事実。確かに、私権の侵害になりかねない危険な思想である。にもかかわらず、なぜ彼女はこの「禁断の果実」に手を出したのか。

「都議選に向けたパフォーマンスですよ」

 と、ある都政関係者は、くゆらせた紫煙の先に小池氏を思い浮かべたような苦々しげな様子で吐き捨てる。

「まずその背景に、厚労省が今国会での成立を目指した受動喫煙防止法(健康増進法改正)の存在があげられます。禁煙原理主義集団である厚労省は、原則屋内禁煙に持ち込む法案を用意しました。ところが、それでは一部の飲食店はやっていけないと、自民党、そして民進党の議員連盟からも猛反発を受け、厚労省は『例外』を法案に盛り込まざるを得なくなった。それでも、自民党側は収まらず、紛糾しました」

 こういった国会の状況に着目したのが、政界の渡り鳥として嗅覚だけは鋭い小池氏だ。

「師匠である小泉さん(純一郎・元総理)から、世論受けするための『二元論』を学んだ小池さんは、永田町での受動喫煙防止議論を利用することを思い付いた。厚労省すなわち禁煙派が『善』であり、自民党すなわち喫煙派が『悪』であるという単純すぎる善悪二元論を、都議選に持ち込もうとしているわけです。国ができないことを都でやる、私こそが改革者だと」(同)

 ところが小池氏の「浅知恵」は見透かされ、そう簡単に事は運ばなかった。

 自民党都連関係者が、今擦(す)ったばかりのマッチの炎の如き怒りを目に浮かべ、彼女の思惑を指摘する。

「うちも含め、都民ファースト以外の各党の都連も、国政とは別に受動喫煙対策を公約に掲げた。小池さんだけを突出させるわけにはいきませんからね。そこで困った彼女は他の党との差別化を図り、都民ファーストが埋没しないために、過激な家庭内禁煙を打ち出してきたんです。実はそこにはもうひとつ、彼女の打算があって……」

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