ラルク解散危機、募らせていたギャラへの不満 事務所会長の20億円錬金術

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■ギャラへの不満

「これを大石さんとやる最後の公演にしよう」

 今年4月、東京ドームにおける2日間の公演で11万人を動員したメンバーの一部からこんな言葉が漏れた。

 大石さんとは所属事務所を率いる大石征裕会長(57)を指す。日本音楽制作者連盟の理事長を務めた斯界の有力者である彼が音楽事務所を法人化した90年ごろ、当時の所属事務所と揉めたラルクが大石会長を頼って以来の関係だ。

 結成から四半世紀という記念すべき折も折、メンバー間にさざなみが立ち、解散・独立について抜き差しならぬ状態にあるのは事実だ。

「ラルクの活動が少ないのはハイドとテツヤが不仲だからとファンは噂するのですが、実際は違うんです」

 と解説するのは事務所関係者。トラブルが顕在化したのは2012年のワールドツアーが終わったあたりからだ。

「事務所とメンバーは専属契約を結んでいて、契約書にはラルクとしての活動の収入は全て『ラルクのための銀行口座』に入金し、メンバーからの要望があればその口座の入出金記録を開示できるとなっている。でも、いくらメンバーが要求しても会長が開示してくれない。一番不満を持っていたのはリーダーのテツヤさんで、“要望が聞き入れられないようなら、契約を考え直す時間が必要だ”と、自動更新される2年契約を一旦12年秋に打ち切ったんです。その時は敵対的というより前向きに活動を続けて行くためという雰囲気でした。でも結局、今に至るまでテツヤさんだけは事務所と専属契約を結んでいない。つまり、ライブがあってもその都度、契約するスタイルになっているんです」(同)

 少なくともここ5年は弥縫策で凌いできたことに驚くほかないが、糸がもつれたのはギャラへの不満が募ったせいだ。さるレコード会社幹部は、

「あそこは元々、チケット1枚につきメンバー1人が2・5%を受け取るというやり方だった。それじゃあんまりだとメンバーが主張して3%になったんだけど、トップ・アーティストに比べれば余りにも低いし、最近は粗利をプロダクションと半々にするというやり方がトレンドなんですよ」

 としたうえで、歌唱印税などにも触れて、

「他の売れっ子が100万枚売れば3〜5%取るけれど、ラルクの場合は2・5%。ライブについても会長は“赤字だからさ”と訴えるけど、そんなのあり得ないよ。2年前の大阪でのライブはメリーゴーラウンドとか逆バンジージャンプ台なんかを置いたせいで、“カネがかかって赤字”と言い訳してたみたいだけど、そんなドンブリ勘定は絶対ない。なのにメンバーが“赤字なら経営責任がある。収支がわかる書類を”と詰め寄っても拒まれるんだってさ」

 そんな時、会長が決まって口にする台詞があって、

「武士の義理人情でやってもらっているんだよ。普通なら1億かかるのに、僕が業者と長くうまく付き合っているから安くなる。でも、そのカネの流れは表にできないんだ」

 実際に会社は、毎年約15億円の収入高、2000万円以上の営業利益をコンスタントに計上しているのだが……。メンバーの汗、ファンの歓声、そこから絞られたいわば膏血(こうけつ)のようなカネはどこへ向かったのか。

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