日本郵政、400億円超え赤字転落 「西室泰三」の大罪

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 2007年の民営化以降、日本郵政が連結決算で初の赤字に転落した。当初、3200億円の黒字を予想していたものの、蓋を開けてみれば400億円超の大赤字。社内では、その“元凶”は西室泰三前社長(81)だと囁かれている。

 ゴールデンウィーク前の4月25日、日本郵政の長門正貢社長(68)は記者会見でこう語っていた。

「負のレガシーを断ち切り、攻めの経営のスタートラインに立つ」

 長門社長が口にした負のレガシー(遺産)とは、2年前の上場前に6200億円で買収した豪州の大手物流会社「トールホールディングス」を指す。記者会見に出席した全国紙の経済部記者によれば、

「トールHDは世界50カ国以上に1200カ所の拠点を持つ世界有数の物流会社ですが、買収前より経営が悪化しています。そこで日本郵政はトールHDの企業価値を切り下げる“減損処理”に踏み切り、約4000億円もの特別損失を一括償却したことで赤字に転落したわけです」

 どこかで聞いた話だが、

「昨年12月末に巨額損失が発覚した東芝のウェスチングハウス買収も、当時は東芝の相談役だった西室さんの強い意向でした」

 こう指摘するのは、経済ジャーナリストの福山清人氏だ。

「日本郵政が傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命と同時上場する際、郵便事業の収益性が疑問視されていました。そこで当時、日本郵政の社長だった西室さんが、物流事業の目玉としてトールHD買収を取締役会に提案。複数の社外取締役が反対しましたが、それを押し切って半ば強引に決定したのです」

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