日本郵政、400億円超え赤字転落 「西室泰三」の大罪

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■国が筆頭株主

 後始末を強いられる格好になった長門社長。だが、記者会見では、すでにトールHDの管理職300人を削減したことに加えて、今年度中に社員1700人のリストラも断行し、自らの報酬を20%削減すると発表した。随分迅速な対応だが、証券アナリストの分析では、

「日本郵政の純資産は約15兆4000億円あるので、今回の特別損失で屋台骨が揺らぐことはありません。株式市場も、日本郵政の対応を好感しています。特損発表翌日の4月26日の株価は1393円でしたが、5月2日は1375円と下落幅は小さい。ですが、これ以上株価が下がれば、筆頭株主も黙っていないと思います」

 日本郵政の筆頭株主は、8割以上を所有する政府だ。

「政府は、夏以降に日本郵政の株式を最大1・4兆円分追加売却する方針です。売却益を東日本大震災の復興財源に充てる一方、日経平均株価2万円台突破の起爆剤にしたいとの思惑もある。長門社長は、そんな政府の意向を汲んで、対応策を急いで発表したのでしょう」(先の記者)

 トール買収時、西室氏は“もしもうまくいかない場合には、潔く失敗を認めて、それなりの対応をさせていただく”と大見得を切っていたが、この結果をどう受け止めているのか。東芝社員がいうには、

「昨年、日本郵政の社長退任以降、西室さんは急激に体調を崩して、毎日のように顔を出していた東芝本社にもいらっしゃらなくなりました。目下、療養中。実の娘さんが介護しているようですが、うちの幹部も直接話せない状態だと聞いています」

 日本郵政傘下の日本郵便は、6月1日から52円のハガキを10円値上げするが、消費税の増税時以外では実に23年ぶりのことだという。やはり、この値上げは損失補填ではないのか。

週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載

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