「セカオワ」ら著名人も支援、犬“殺処分ゼロ”でふるさと納税を集めるNPOの偽善

国内 社会 週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載

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■「生かされとるだけや」

 では、常識外のピースワンコの施設で、犬たちはどう暮らしているのか。ピースワンコでのインターンを経験した女性に聞いてみた。

「驚いたのは妊娠した犬がいたことです。不妊・去勢手術はせず、発情期のメスを8畳ほどの“ヒート(発情)部屋”に集めることで避妊していましたが、オスは同じ敷地内で隔離しても臭いで全部わかる。交尾したいのにできないのは、オスには非常にストレスになるし、イライラして人に噛みつくこともあります。犬を不妊・去勢せずに集団飼育するのは、犬の精神状態にとても悪いはずです」

 ほかにも気になったことがあったという。

「犬の頭数に対してスタッフが少なすぎる。私が出入りした第1シェルターは100頭ほど、第3シェルターには400頭ほどいましたが、それぞれスタッフは5、6人。特に第3は人手不足で、スタッフさんと同じく朝8時から夜8時まで働いても、犬舎の掃除とエサやりでやっと。エサも2、3頭ずつまとめてやるしかないのでケンカも起きます。ドッグランで走らせる余裕なんてない。チーフの方が“これでは人間に生かされとるだけや”と呟いたのが印象的でした。ピースワンコではリードも使いませんが、そのせいでケンカして死んでしまった犬もいると聞きました。人間の独りよがりに、犬が犠牲になっていると感じましたね」

 なにやら、高い平均寿命の陰で、もう起き上がることも喋ることもできない人が、尊厳が損なわれたままベッドに括りつけられている日本の医療現場が思い起こされる話ではないか。

 実は、広島県動物愛護センターも、本音は同じ認識であるらしく、昨年12月に県内のボランティア団体を集めた会議で「P団体」の名を挙げ、「殺処分対象の全頭引取り→根本的な解決にはなっておらず、当センターにとっては殺処分と同じ」と発表していた。

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(下)へつづく

特集「『前田健太』『SEKAI NO OWARI』『志村けん』が広告塔! 犬『殺処分ゼロ』でふるさと納税をかき集める『NPO』偽善の履歴書」より

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