「セカオワ」ら著名人も支援、犬“殺処分ゼロ”でふるさと納税を集めるNPOの偽善

国内 社会 週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載

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■不妊去勢手術を行わず

 これでは、殺処分ゼロを更新すべくふるさと納税を募っている以上、“税金どろぼう”のそしりは免れないが、公開質問状の「不妊去勢手術を行わず」云々のほうはどうなのだろう。

 呆れ顔で説くのは、アニマルレスキューシステム基金の山崎ひろ代表である。

「私は15年11月まで福島などで被災動物の病院をやっていましたが、13年に“不妊・去勢手術をしていない保護団体がある”と耳にしましてね。まさかと思って、そのピースワンコに問い合わせると、平然と“してません”と答えるじゃないですか。広島県は受胎調整の後進県で、地域によってはコンビニの前に野犬が10匹以上もたむろしていたりする。適正な数に調整するには、一定の安楽死は致し方ありません。“かわいそう”でも適正な頭数にコントロールするのが、犬と共存する人間の責任。ましてや保護した犬の不妊・去勢手術もしないのは、偽善と言われても仕方ない」

 ちなみに、くだんの質問状へのPWの回答によれば、3月27日現在、ピースワンコの施設が収容する犬は1166頭。不妊・去勢手術を施したのは27頭で、施設内で生まれた子犬も150頭いるという。試みに、広島県内でも活動するNPO法人「エンジェルズ」の林俊彦代表に方針を聞くと、

「うちは月齢6カ月を超えた子犬はすべて不妊・去勢手術を施し、譲渡するのも原則、手術が終わった犬です。日本の犬の頭数は15歳未満の人口より多いという。無駄な命を減らす方法は不妊・去勢手術しかありません。実は処分される犬の8割はオス。犬は人間の100万倍の嗅覚があるといい、オスは何キロも離れたメスの生理の臭いに理性を狂わされ、脱走してしまうのです。去勢していれば、そうした事態も避けられます」

 それが特殊でないことには、東京都調布市のくるみ動物病院の武藤幸子院長も、

「私が知るかぎり、ピースワンコ以外に、不妊・去勢手術を行っていない愛護団体はありません」

 と断言するのだ。

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