「セカオワ」ら著名人も支援、犬“殺処分ゼロ”でふるさと納税を集めるNPOの偽善

社会週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載

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■資金をふるさと納税で

SEKAI NO OWARI

 この“快挙”を朝日新聞を筆頭にメディアが称賛すると、著名人の支援も集まった。人気バンドのSEKAI NO OWARIが昨年7月、CDやライブの収益を寄付すると発表し、10月には支援ソング「Hey Ho」を発売。11月27日には、ドジャースの前田健太投手も神石高原町で行われたPWのイベントに参加し、来季、1勝ごとに一定額を寄付すると宣言し、「みなさんも僕が1勝したら寄付をお願いします」と、呼びかけたのである。

 また、日本テレビ系「天才!志村どうぶつ園」も11月5日から新コーナー「捨て犬ゼロ部」をスタートさせ、タレントのぺこ&りゅうちぇるがピースワンコの活動を紹介することに。

 だが、そもそも「全頭引きとり」が可能なほど資金が潤沢になったのは、

「資金をふるさと納税で賄うようにしたからです」

 と先の記者は語る。

「14年9月、神石高原町がPWへの支援をふるさと納税の対象にすると、町への寄付金額が80倍超に。おかげでピースワンコは施設を拡充し、より多くの犬を引きとれるようになった」

 犬がかわいそう、と思う納税者の琴線に触れたのだろう。すでに8億円ほどが“納税”されたという。

 ともあれ、めでたし――と思いきや、今年3月15日付で、PWの大西健丞代表理事とピースワンコの責任者の大西純子氏宛てに、東京と神奈川の30を超える動物愛護や福祉関係の団体から、公開質問状が出されていたのだ。そこには、

〈貴団体のように大規模な保護譲渡活動を行う影響力の強い団体が、保護犬に不妊去勢手術を行わず譲渡を行っている現状は、私たちが長年かけて培ってきた不妊去勢手術の普及を覆すものになるのではと、強い危機感を感じております〉

〈昨年4月1日〜12月末までに自然死・病死以外の「麻酔薬の注射による安楽死処分数」が犬については52頭上がっていることから、既に殺処分が再開されていた事が判明しております。(中略)貴団体HPでは「広島の犬の殺処分ゼロ○○○日間継続中!」と広報を行い、昨年12月3日の朝日新聞では、「皆さんのご支援がなければ殺処分ゼロが途切れてしまいます。」と大々的にふるさと納税やご寄付を募っていました〉

 などと強い調子で書かれている。どういうことか。

 そこで広島県動物愛護センターのデータを確認すると、昨年も4月以降、52頭の犬が殺処分された旨が明記されている。ピースワンコは実際、昨年12月3日付の朝日新聞に〈あなたのご支援がなければ、「殺処分ゼロ」が途切れてしまい〉と、ふるさと納税を募る全3段のカラー広告を掲載し、HPでは〈広島の犬の殺処分ゼロ402日間継続中!〉(5月7日現在)と謳うが、「殺処分ゼロ」はとうに途切れていたのである。

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